研究課題/領域番号 |
20K16081
|
研究機関 | 岐阜薬科大学 |
研究代表者 |
藤井 宏典 岐阜薬科大学, 薬学部, 客員共同研究員 (90775173)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | MDSCs / 膵がん / フローサイトメトリー解析 / 治療効果 |
研究実績の概要 |
本研究では、膵がん患者の効果判定のバイオマーカーとして、好中球減少やPeripheral Blood Mononuclear Cells(PBMC)中のMyeloid derived suppressor cells(MDSC)の割合変化が化学療法の効果や生存期間に関連するかを明らかにすることを目的として検討を行う。末梢血中のMDSCは通常は1%程度であり、非常に少ないポピュレーションを検討する必要がある。そこで令和2年度はMDSCを安定して分離可能な測定系の確立を目指して検討を行った。通常MDSCはPBMC中のCD11b+CD14-CD33+またはCD33+HLA-の細胞とされている。ヒトの血液検体を用いて、これらの細胞群を分離するのは難しいため、MDSC同様にCD11b+CD14- CD33+である3種のヒト培養白血病細胞HL60、NB4、KG-1を用いて条件検討を行うともに、これらの細胞についてその性状を比較検討した。フローサイトメトリー解析にてすべての細胞をCD11b+CD14- CD33+として分離することができたため、今後はPBMCを用いて検討を行う。 細胞の性状としてはNB4細胞では他の細胞と比較しCD11bの発現強度が低かった。一方でレチノイン酸の前駆体であるβ-caroteneで7日間処理し、ウエスタンブロットを行ったところ、NANOG、PML-RARαの発現低下、ERKのリン酸化、c/EBPβ、CD11bの発現増加が認められ、分化に伴うCD11bの発現亢進が確認された。また、いずれの細胞のHLAについても発現量は低度であった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和2年度に実施を予定していたMDSC濃度測定系の確立は進展したが、一方でコロナウイルス感染の拡大のため、予定していた患者検体の使用のための倫理申請手続き等が遅れていることが原因となっている。令和3年度以降は倫理委員会の承認が得られ次第、予定していた1次治療としてmFXが投与される患者由来血液サンプルを用いたMDSC濃度と好中球減少の相関に関する評価について検討を進める。
|
今後の研究の推進方策 |
令和3年度から4年度にかけては、当初の予定通りに、MDSC濃度の変化と好中球減少の関連に加えて、治療効果との関連についての検討を進める。
|