研究課題/領域番号 |
20K16083
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
三村 佳久 名古屋市立大学, 大学院薬学研究科, 研究員 (10839335)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 前立腺がん / 骨転移 / 骨密度 |
研究実績の概要 |
前立腺がんは高頻度で骨に転移する。骨転移によって骨痛や骨折が生じると、患者の日常生活に大きく支障をきたすため、一度骨転移を生じると生活の質の低下は免れない。そのため、骨転移を未然に防ぐための予測法や予防法の開発が望まれる。前立腺がんは骨密度の低下した骨に転移しやすいことが報告されている。このことから、骨密度が骨転移を予測するための指標となる可能性が考えられる。しかし、臨床において、骨密度と骨転移の関連性を明らかにした報告はない。そこで本研究では、超音波骨密度測定器を用いて前立腺がん患者の骨密度を評価し、骨密度と骨転移との関連性を明らかにし、骨密度を用いた骨転移の予測法の開発に取り組む。 2020年度は、①電子カルテ診療情報から前立腺がん患者のデータを抽出し、骨密度および骨粗しょう症治療薬の使用歴について調査した。②前立腺がん患者の骨密度測定を行うための臨床研究のプロトコール作成、倫理申請を行い承認を得た。また、骨密度測定に必要な各種機材の調達を行った。 今後は、患者のリクルートを進め、骨密度のデータを蓄積し、当初の目的である骨密度と骨転移の関係性、骨転移を予測するための骨密度のカットオフ値の算出、運動習慣と骨密度、骨転移の関連性についての調査・研究を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画と比較して、電子カルテを用いた調査では、前立腺がん患者の中で骨密度を測定していた症例が全くいなかったこと、定期内服薬の情報が断片的で追跡が不可能であった症例が多数であったことにより、カルテ調査によって骨転移と骨密度との関連性について明らかにすることはできなかった。そのため、来年度より前立腺がん患者の骨密度を測定し、骨密度と骨転移との関連性について調査を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
今後は前立腺がん患者をリクルートして症例を蓄積し、骨密度と骨転移との関係性を明らかにしていく。また、登録した症例について骨転移の発生の有無を追跡する。
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次年度使用額が生じた理由 |
骨密度計の購入に際し相見積もりを取った結果、当初の予算と比較して低価格で購入することができたこと、ウェアラブルデバイス・統計解析ソフトを購入しなかったことにより生じた。生じた次年度使用額はウェアラブルデバイス・統計解析ソフトの購入、骨密度測定に使用する消耗品の購入、国内旅費、論文投稿費、英文校正費に充てる予定である。
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