骨転移(-)群(n=29)、骨転移(+)群(n=31)に分け解析を行った。患者背景は年齢[中央値(範囲)]はそれぞれ70歳(53~86)、75歳(62~90)であった(p<0.05)。リンパ節転移のある患者は3名および19名であった(p<0.05)。内臓転移のある患者は1名および6名であった(p=0.104)。去勢抵抗性前立腺がんである患者は0名および12名であった(p<0.05)。 超音波骨密度測定装置を用いて踵骨の超音波骨内伝達速度[speed of sound; SOS(m/s)]を測定した結果、1500m/s(1471-1580)および1486m/s(1422-1616)であり、骨転移(+)群で有意に低値であった(p<0.05)。各年齢のSOSの標準偏差を1SDとして規定したZスコアを比較すると0.39SD(-0.68~3.56)および-0.16SD(-2.55~4.69)であり、骨転移(+)群で低い傾向にあった(p=0.07)。骨密度測定後、骨転移が出現・増悪した患者は11名であった。そこで、骨転移の出現・増悪を予測するためのSOSのカットオフ値をreceiver operating characteristic曲線(ROC曲線)を用いて解析した結果、1500m/s(曲線下面積0.68、95%信頼区間0.518-0.842)と算出された。このカットオフ値をもとに患者をSOS high群、SOS low群に分け、骨密度測定時から骨転移の出現・増悪までの期間をlog rank検定にて解析した。その結果、骨転移出現・増悪までの日数の中央値(95%信頼区間)はSOS high群で未達[not applicable(NA)-NA]、SOS low群で未達(679-NA)であり、SOS low群でより早期に骨転移の出現・増悪が見られる傾向にあった(p=0.0864)。
|