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2021 年度 実施状況報告書

興奮性および抑制性シナプスにおける細胞骨格アセンブリの差異の機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K16104
研究機関群馬大学

研究代表者

一ノ瀬 聡太郎  群馬大学, 大学院医学系研究科, 助教 (80775768)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード抑制性シナプス / 接着因子 / 微小管 / タンパク質結合
研究実績の概要

前年度までに、微小管の+端において微小管とタンパク質の結合を仲介するアダプタータンパク質であるEB1が、シナプス分化に必要なTENM2と相互作用することを解明し、この相互作用が抑制性シナプス形成を左右することを発見した。当該年度は、この内容を裏付けするために、最初に線維芽細胞における過剰発現系を用いてEB1-TENM2の共局在を観察した。次に、発現量を内在性のタンパク質に近づける実験を行ったが、細胞を何も処理を加えない場合は、細胞の形態には大きな差が見られなかった。これは、接着分子であるTENM2が本来はシナプスにおいて結合相手と結合することで機能を発揮し、逆に細胞膜上で自由な側方拡散が可能な状態では分子機能を発揮しないためであると考えた。しかしながら、抑制性シナプスにおいてTENM2の結合相手が未同定であるため、結合相手を用いたTENM2の固定ができなかった。そこで、細胞外ドメインをHAタグに変更し、結合相手として抗HA抗体を用いてTENM2の細胞膜上での側方拡散を制限した。その結果、細胞形態に劇的な変化を認めた。さらに、細胞膜直下でのTENM2とEB1の相互作用を確認するために、焦点距離が細胞膜直下200nm程度まで制限できる全反射蛍光顕微鏡(TIRF)を用いてライブイメージングを行ったところ、側方拡散を制限したTENM2を発現させた細胞では、EB1の移動速度が低下していることを観察できた。以上の結果は、抑制性シナプスにおいて結合相手と結合しているTENM2が細胞内では微小管+端と相互作用していることを示唆している。これらは線維芽細胞を用いた実験であるため、今後はこの現象を神経細胞を用いて解析を行い、どのような条件の元でTENM2が微小管+端と相互作用しているかを解明していく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

前年度にTENM2の局在に関して裏付けを行うためにHAタグを付加するノックインマウスを作成した。このノックインマウスから得た初代培養神経細胞を観察したところ、TENM2が局在している抑制性シナプスがかなり一部分に限定されていることがわかった(10%以下)。この比率は、ほかに抑制性シナプスに局在していることが報告されているGABAA受容体γ2サブユニットやニューロリギン2に比べるとかなり少ない(80%以上)。この実験結果は、TENM2陽性の抑制性シナプスがほかにはない特定の機能を有していることを示唆している。この観察結果とTENM2-微小管の相互作用に因果関係があるかどうか追加の実験を行っているため、当初計画にはなかった実験を並行しており、若干の計画の遅れはある。

今後の研究の推進方策

上記の通り、TENM2が局在している抑制性シナプスがかなり一部分に限定されており、TENM2陽性の抑制性シナプスがほかにはない特定の機能を有していること、TENM2-微小管が相互作用することの2つの独自の発見をもとに、抑制性シナプスにおいてタンパク質集積がどのように達成されるかを解明していきたい。また、この点を興奮性シナプス(※微小管が興奮性シナプス直下に到達することはかなり限定的であるという先行研究がある)と対比させ、抑制性シナプスと興奮性シナプスのタンパク質集積の制御方法の差異を解明したい。

次年度使用額が生じた理由

概ね順調に使用したが、年度末時点で必要になった消耗品が残額を超過したため、新年度での発注にせざるを得なくなった。2022年度は、ライブイメージングに必要な消耗品や抑制性シナプスにほかに存在する分子に対する抗体等を購入する予定。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)

  • [学会発表] The roles of teneruin-2 in neuron2022

    • 著者名/発表者名
      Sotaro Ichinose, Hirohide Iwasaki
    • 学会等名
      第127回日本解剖学会総会・全国学術集会
    • 国際学会
  • [学会発表] Teneurin-2 at Synapse construction site is a signpost for protein accumulation2022

    • 著者名/発表者名
      Sotaro Ichinose, Hirohide Iwasaki
    • 学会等名
      第45回日本神経科学大会
    • 国際学会

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公開日: 2024-12-25  

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