研究課題
シナプスは大きく分けて、興奮性と抑制性の2種類が存在する。2種類のシナプスのポストシナプス構造を比較すると、興奮性がスパインという特徴的な構造上に形成され、スパインに特徴的なシグナル伝達経路によってシナプス形成が支配されているのに対し、抑制性は樹状突起の上に直接形成されるため、非シナプス領域とのシグナル伝達経路の区別をどのように達成しているかが疑問であった。本研究では、接着分子で、シナプス形成を促進する働きをもつシナプスオーガナイザーの1つであるテニューリン2が、抑制性のポストシナプスにおいて、細胞外ドメインを用いて結合相手と結合すると、細胞内ドメインでは微小管と相互作用することを通じて、微小管依存的な物質輸送をシナプス直下へ呼び込むことを発見した。このことが、シナプス構成分子の集積を促し、シナプスオーガナイザーとしての役割を果てしていると考えられる。このような、汎用的な役割を果たしているにも関わらず、テニューリン2が存在する抑制性シナプスは20~30%程度に限定されることがわかった。このことは、同様の機能をもつ分子がほかにも存在していることを示唆しており、今後は、このような分子を同定しつつ、どのように分子の使い分けがなされているかを追及する予定である。また、テニューリン2自身がどのようにしてシナプスに集積するかも、不明な点が多かった。そこで、最終年度はこのメカニズムを解明することを新たに目標に設定した。細胞内ライブイメージングと、生化学実験の結果、テニューリン2自身は液-液相分離と呼ばれる現象により、自己アッセンブリを引き起こしていることがわかった。また、これは細胞外ドメインによる相互作用があるときにより一層強まることが示唆された。今後は、自己アッセンブリ時に微小管との相互作用が変化するかどうかを追究していく予定である。
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eLife
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https://www.med.gunma-u.ac.jp/news/11891