研究実績の概要 |
脳脊髄液(Cerebrospinal fluid: CSF)は、中枢神経系の恒常性維持に必須の成分である。くも膜顆粒はCSF吸収路として機能すると古くから考えられているが、その形態的特徴は未だ不明な点が多い。本研究期間において、主に臨床検体より採取したヒトくも膜顆粒の超微細形態解析を行った。解析の結果、ヒトくも膜顆粒においてリンパ管内皮細胞の構成分子が存在していること、くも膜顆粒周辺の脳硬膜において、くも膜下腔と上矢状静脈洞を連絡するギャップ領域が観察され、ヒトくも膜顆粒の新たな形態的特徴を見出すことができた。
最終年度では、主に上記の成果をまとめ論文投稿の準備にあてた。また、研究期間内に発表したブタ脳髄膜の形態解析の論文(Kutomi and Takeda, Microscopy, 2020)が、第37回日本顕微鏡学会論文賞に選出され、第78回日本顕微鏡学会学術講演会にて授賞講演を行った。
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