現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SMDR3は精子ミトコンドリア異常により雄性不妊となることから,ミトコンドリアに局在するタンパク質であると考えていたが,実際には生殖細胞の一時期のみに存在し,ミトコンドリアとは独立する2種類のnuageに局在することが分かった。これは精子ミトコンドリアの形態に全く関係ないと思われていたnuageが、ミトコンドリア鞘形成に必須であることを示しており,研究開始当初からは全く想像のできない結果であった。さらにこのnuageは培養細胞にSMDR3を発現させることでも誘導することができ,SMDR3をリン酸化酵素と同時に発現させるとnuageの誘導はなく,脱リン酸化酵素と同時に発現させると誘導できることなども分かっており,新たなnuage研究への応用も感じさせるものだった。 さらに精子ミトコンドリアに異常を呈するGm9999 KOマウスの解析により,この遺伝子から誘導される2種類のポリペプチドはそれぞれ精子ミトコンドリア鞘形成期の異なる時期に発現して,精子ミトコンドリアの鞭毛への巻き付きに関与していることを明らかにした。この研究は論文として報告をおこなった(Mise, S., Matsumoto, A., Shimada, K., et al., (2022) Kastor and Polluks polypeptides encoded by a single gene locus cooperatively regulate VDAC and spermatogenesis, Nat Commun. 13, 1071.)。
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