魚からヒトに至る脊椎動物の体軸骨格筋は、分節性に区切れた体節から筋芽細胞が分化し、体節の分節性が崩壊するとともに隣り合った体節由来の筋細胞が融合することで形成される。現在までに体節が分節状に形成されるメカニズムは明らかになっているが、どのように崩壊していくかは分かっていない。本研究では、体軸骨格筋形成過程における分節性崩壊の形態変化を明らかにし、さらにその分子基盤の解明を目指した。 ニワトリ胚におけるmyoseptum形成、消失過程を形態学的に解析し、myoseptum形成過程のおよその時期は特定できている。また、myoseptum消失を簡便に検出するために、NanoLucルシフェラーゼ(Promega社)を用いて作製した検出システムを使用してmyoseptum消失過程の経時的な観察を行った。しかし、ニワトリ胚が発生過程で大きく移動するため、卵殻内でタイムラプス撮影を行うのは困難であった。そこで、卵殻外でのニワトリ胚培養システムを導入することで、ニワトリ胚を一定の視野内で観察することを可能とした。最終的には培養皿内で初期胚(HH stage8-15)のタイムラプス観察を行った。 今年度の研究期間を通して、明視野での観察は安定して可能となった。今後はさらに安定したニワトリ胚培養システムを作製し、より長時間の観察が可能となるようにニワトリ胚の長寿命化を目指す。さらに、myoseptum検出系を作製した胚培養システムへ導入し、より詳細なタイムラプス観察を可能とし、myoseptum消失に関する遺伝子探索を進めていく。
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