研究課題/領域番号 |
20K16114
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
小池 太郎 関西医科大学, 医学部, 助教 (00735590)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 脊髄神経節 / 一次感覚ニューロン / アデノ随伴ウイルス |
研究実績の概要 |
目的ニューロンの標識のため、目的ニューロン特異的遺伝子のプロモーター下でレポーター遺伝子を発現するアデノ随伴ウイルスを複数種類作製しDRGに投与したが、どのウイルスでも目的以外のニューロンが標識され、良好な結果が得られなかった。そのため当該遺伝子下でCreリコンビナーゼを発現する遺伝子組換えマウスの凍結精子を用い、人工受精にて必要個体を作製している。 目的のニューロンのマーカータンパク質がTyrosine hydroxyrase(TH)陽性ニューロンにおいても発現していることが判明したため、多重免疫組織化学により細胞数の計測を行った。その結果、目的ニューロンの約70%がTH陽性であることが判明した。しかし残りの約30%は目的ニューロンのマーカータンパク質に単独陽性を示した。さらに無毛部皮膚を支配するDRGにおいてその割合が高い傾向が認められた。また、脊髄後角では機械受容ニューロンの投射部位にマーカータンパク質の陽性反応が認められたことから、機械受容ニューロンであることが示唆された。 実験操作の単純化を図るため、末梢神経に指向性が高いアデノ随伴ウイルス(血清型PHP.S)の静脈投与による細胞標識法の確立を試みた。高力価のウイルスを作製し、マウス眼窩静脈叢へ投与後、DRG、腹腔神経節、腸管神経節など複数部位でレポーター遺伝子の発現をおこなった。ウイルス由来の遺伝子を発現している細胞数は極端に少なく、この方法での細胞標識は困難であることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
アデノ随伴ウイルスの静脈で目的ニューロンを標識する事を考え、これに必要となる高力価のウイルス作製に時間を要した。COVID19の影響を受け、遺伝子組換えマウスの導入がスムーズに進まなかった。
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今後の研究の推進方策 |
作製された遺伝子組換えマウスにCreリコンビナーゼ依存的にレポーター遺伝子を発現するアデノ随伴ウイルスを投与後、神経損傷手術を施し、標識ニューロンの形態解析およびRNA-seqを行なう。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度の未使用額が多かったことに加え、予想より安く物品を購入出来たために生じた。研究がやや遅れているため、令和4年度は想定していたよりも多くの実験を行わなければならないことが予想されるため、生じた次年度使用額はこれを行うための費用に充てる。
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