高リノール酸(LA)食給餌により肥満誘導性肝がんモデルにて腫瘍形成数が抑制された結果を紐解くため、本年は以下の項目を実施した。 高LA含有高脂肪食にて抑制される肥満誘導性肝がんが、これまでの知見と同様に腸内細菌依存的に発症するのか、また抑制機構も腸内細菌叢を介しているのかを検証する必要がある。そのため、肝がん発症に必須な腸内細菌代謝物であるデオキシコール酸を混餌させた高脂肪食を開発した。また、高LAの腸内細菌代謝物である水酸化脂肪酸の抗腫瘍効果をin vivoにて検証するため、共同研究者から高純度の水酸化脂肪酸を供与いただき、低LA含有高脂肪食に混餌した。抗生物質投与による腸内細菌除去を行い、デオキシコール酸含有高LA含有高脂肪食を給餌した。しかしながら、腫瘍形成数に変化は認められなかった。次に、リノール酸由来の水酸化脂肪酸含有高脂肪食にて抗腫瘍効果が発揮されるかを検証したところ、腫瘍形成数に変化は認められなかった。こちらも腫瘍形成数に変化が見られなかったことから、LAによる腫瘍形成数の抑制効果は腸内細菌を介していない可能性が高まった。
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