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2020 年度 実施状況報告書

徐脈性不整脈を来たすイオンチャネル病の遺伝子変異に対する特異的化合物の薬理解析

研究課題

研究課題/領域番号 20K16132
研究機関大阪大学

研究代表者

山田 憲明  大阪大学, 国際共創大学院学位プログラム推進機構, 特任助教(常勤) (40850144)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2022-03-31
キーワードイオンチャネル / 遺伝性不整脈 / 遺伝子変異 / カリウムチャネル阻害薬 / ゲノム解析
研究実績の概要

心臓アセチルコリン感受性カリウムチャネル(KAChチャネル)は、それぞれ2分子のKCNJ3およびKCNJ5タンパク質のヘテロ4量体として心臓に発現しており、副交感神経刺激時に開口し、Kイオンが細胞外へ流出することにより心拍数を減少させる生理作用を有する。KAChチャネルおよびその活性化に関連する遺伝子の先天的な変異によって徐脈性不整脈を発症することが報告されている。
本研究は、遺伝性徐脈性不整脈の家系解析から同定された、KAChチャネルおよびその活性化に関連する遺伝子群の種々の病原性変異について、選択的KAChチャネル阻害薬NTC-801の薬理学的解析を行い、変異によりチャネル電流が異常増加することで徐脈性不整脈を発症するKAChチャネル病に対する新規薬物治療法の可能性について検討することを目的とする。
既報のKCNJ5遺伝子変異(KCNJ5 c.303G>C, p.W101C)、およびKAChチャネルの活性化に関わる3量体Gタンパク質のGβサブユニットをコードするGNB2遺伝子の変異(GNB2 c.155G>T, p.R52L)について、アフリカツメガエル卵母細胞での二電極膜電位固定法を用いてNTC-801の薬理学的効果をin vitroで解析した。その結果、NTC-801は野生型のみならず、これらの変異型KACh チャネルに対しても阻害効果を認めた。このことから、NTC-801はKAChチャネル病に対して有効な新規薬剤であることが示唆された。
また、若年発症や遺伝性が疑われる徐脈性不整脈患者から収集したゲノム検体において、KAChチャネル病の新たな候補遺伝子変異を複数見出しており、その病原性を検証している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

既報のKCNJ5遺伝子およびGNB2遺伝子の変異によるKAChチャネル病に対する選択的KAChチャネル阻害薬NTC-801の薬理学的効果を検証した。NTC-801は、KAChチャネルの異常活性化というその病因が明確である本疾患に対して、病態機序に基づいた分子特異的治療薬となり得ることを示すことができた。
KAChチャネル病を来たす病原性遺伝子変異のさらなる探索と同定されてきたものに対する病原性の検証を開始している。

今後の研究の推進方策

KAChチャネル病の疾病頻度は明らかになっていないが、希少疾患であると類推される。既報の遺伝子変異については、effect size(変異の疾患に対する寄与度)の大きい変異であることが確認できたが、本研究において今後、徐脈性不整脈患者のゲノム解析から同定されてくる多くの候補変異の中から明確な生物学的意義のある原因変異を見出すのは容易ではないことも想定される。引き続き、疾患ゲノム解析を実施するとともに、同定されてくる種々の変異について、機能ドメインと変異の位置関係による各種シミュレーションや変異の生化学的側面からの蛋白機能変化の推定等も併せて実施することで病原性を評価し、病原性があると考えられる変異については選択的KAChチャネル阻害薬NTC-801の薬効評価を実施していく。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、研究の実施制限期間があったため、試薬等の消耗品費の使用が一部減少した。当初からの研究計画はおおむね順調に進んでおり、次年度の消耗品費として繰り越して使用することを計画している。

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公開日: 2021-12-27  

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