直鎖状ユビキチン鎖を特異的に生成するLUBACユビキチンリガーゼ複合体は直鎖状ユビキチン鎖生成の活性中心を有するHOIP、アクセサリー分子であるHOIL-1L、SHARPINの三者複合体からなり、刺激依存的なNF-kappaB活性化、細胞死抑制に関与する。LUBACは直鎖状ユビキチン鎖を生成するHOIP以外に、HOIL-1Lもユビキチンリガーゼ活性を有する非常にユニークなユビキチンリガーゼ複合体である。申請者は機能が不明瞭であったHOIL-1Lのリガーゼ活性の解析に着手し、申請者はHOIL-1Lのリガーゼ活性がLUBACの機能を抑制しており、HOIL-1Lのリガーゼ活性を消失させることでLUBACの機能を亢進できることを明らかにした。LUBACはサルモネラ菌など重症感染症の感染制御に関わることも報告されていたことから、HOIL-1Lリガーゼの活性阻害によるLUBACの機能亢進が、サルモネラ菌への感染防御に果たす役割を解析することとした。HOIL-1Lのリガーゼ活性を欠失した胎児繊維芽細胞(MEF)にサルモネラ菌を感染させたところ、野生型に比べてサルモネラ菌に直鎖状ユビキチン鎖を多量に付加させることでサルモネラ菌の増殖を抑制し、結果サルモネラ菌による細胞死も抑制することを明らかにした。HOIL-1Lリガーゼ活性欠失によるLUBACの機能亢進がサルモネラ菌感染を抑制できることを新たに見出した。
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