研究実績の概要 |
PPARaによるエクソソーム分泌遺伝子の制御メカニズムについて解析を行なった。 2022年度は当初の予定通りアデノ随伴ウイルスベクターを大量作成することに成功し、マウスNAFLD/NASHモデルに投与・解析することができた。標的遺伝子を肝臓内でノックダウンした結果、炎症性サイトカインの発現量が有意に減少することが分かった。このことは、当初の研究計画の予想通り、PPARaによるNASH炎症は解析対象遺伝子によって制御されていることが示唆した。 さらにマウス肝細胞株を用いて当該遺伝子の発現制御領域のノックアウト細胞株を樹立することにも成功した。ノックアウト細胞株での当該遺伝子発現量を解析すると、PPARaを活性化させても発現が抑制されないことが明らかとなった。このことは当初の予想通り、PPARaがエンハンサー活性に直接的に介入することで標的遺伝子の発現活性を抑制していることを示している。 上記の研究の進捗に加えて、本年度は査読付き国際英文科学誌に筆頭・責任著者として総説を掲載することが出来た(Yagai et al., Frontiers in Medicine, 2022)。これまでの研究においてPPARaによって発現が抑制される遺伝子については十分な研究がされておらず、不明な点が多かったことから情報を集めるのも苦労があったが、本総説に先行研究をまとめて記載することで、後続の研究者がPPARaによる発現抑制メカニズムの研究にスムーズに取り掛かれるようになることが期待される。
|