Tauタンパクはどのような機構で凝集し、疾患ごとに異なる構造・性質を持った凝集体となるのかを理解することが、神経変性疾患の発症機構の解明及び創薬において重要である。申請者はtauのAsn-368残基が、アルツハイマー病(AD)に特有のtau凝集体構造の形成に重要であることを突き止めた。この残基の変異は、皮質基底核変性症(CBD)などの非AD tauopathyにおいてはほとんど影響を及ぼさず、よってAsn-368はAD-tau凝集に特異的に働く部位であると言える。Asn-368のAD-tau凝集における役割の解明が、凝集体構造に疾患ごとの差異が生じる機構の解明につながると考えられる。
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