研究課題
本研究ではアルツハイマー病の発症や増悪化におけるミクログリア細胞の本質的な機能を明らかにする目的でミクログリアを特異的に可視化可能及び、同細胞を特異的に除去可能な遺伝子改変マウスを作成し、次世代のアルツハイマー発症マウス(hAPP KIマウス)と掛け合わせ解析を行った。ミクログリアを特異的に可視化可能マウスとしてhAPP-KI/CX3CR1creERT/Rosa26-lsl-EYFPを作成した。また、同細胞を特異的に除去可能な遺伝子改変マウスとしてhAPP-KI/ CX3CR1creERT/Rosa26-lsl-DTAマウスを作成した。hAPP-KI/ CX3CR1creERT/Rosa26-lsl-EYFPマウスにタモキシフェンを投与し、ミクログリア細胞をEYFPにて標識した。この後、脳からミクログリア細胞を調整し解析したところ、97%以上のミクログリア細胞がEYFP陽性となっており、他の細胞はEYFPにて標識されておらず、高い標識効率と特異性が確認できた。また同マウスを用いてミクログリアの脳内分布解析をしたところ、アミロイドβが沈着している周辺にミクログリア細胞が集積していることを確認出来た。また、hAPP-KI/ CX3CR1creERT/Rosa26-lsl-DTAマウスにタモキシフェンを投与し、ミクログリアを除去したところ、90%以上のミクログリアが4週間以上に渡って除去可能であることが明らかになった。これらの結果から、樹立したミクログリア特異的遺伝子改変マウスのシステムが適切に機能していることが明らかになった。その後、経時的に脳を摘出し解析したところ、コントロールマウスとミクログリアを除去したマウスを比較してアミロイドβの集積の大きさや頻度に大きな差は無かった。この結果、アミロイドβの集積にミクログリアが直接寄与していない可能性が示唆された。
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International Immunology
巻: Jan 25 ページ: dxad003
10.1093/intimm/dxad003.
Journal of Immunology
巻: 209(3) ページ: 498-509
10.4049/jimmunol.2100024.