研究課題
我々は細胞間接着分子クローディン(CLDNs)から核内受容体(Nuclear receptors; NRs)のセリンリン酸化に至る新規のシグナル経路を発見した。またクローディン-6 (CLDN6)が子宮内膜癌の予後不良因子であり、子宮内膜癌細胞株においてCLDN6過剰発現はエストロゲン受容体(ERα)依存性に悪性形質を増強することを明らかにした。ところで最近公開されたThe Cancer Genome Atlasデータベースによると、CLDN6と近縁なCLDN9のmRNA高発現が子宮内膜癌の予後不良因子である可能性が示されている。以上のことから「異常発現したCLDN9を起点とするシグナルが、ERαもしくは他のNRsの活性化を介して子宮内膜癌の悪性形質増強に作用する」という仮説を立て、子宮内膜癌におけるCLDN9の予後マーカーおよび新規治療標的としての可能性を検証した。まずラットリンパ節法により特異度が高くホルマリン固定パラフィン包埋標本を免疫染色可能な抗CLDN9モノクローナル抗体を開発した。続いて子宮内膜癌手術検体248例においてCLDN9発現量を半定量的に評価した。その結果と患者の臨床経過を統計解析したところ、CLDN9高発現群では低発現群として5年生存率が低く、CLDN9高発現は子宮体がんの予後不良因子であること、また、独立した予後不良因子であるが示された。さらにCLDN6とCLDN9を組み合わせることでCLDN6低発現群中の予後不良症例をCLDN9により抽出できることが示された。
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International Journal of Oncology
巻: 61 ページ: -
10.3892/ijo.2022.5425