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2020 年度 実施状況報告書

間質性肺炎合併肺癌における癌関連線維芽細胞の特徴に関する検討

研究課題

研究課題/領域番号 20K16188
研究機関東北大学

研究代表者

井上 千裕  東北大学, 大学病院, 助教 (10865447)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2022-03-31
キーワード肺癌 / 間質性肺炎 / 癌関連線維芽細胞 / 癌微小環境
研究実績の概要

2001年から2020年の間に外科的切除された、特発性間質性肺炎合併肺腺癌の A) 腺癌部、 B) 非癌部、および、年齢、性別、喫煙歴を基準に最近傍マッチングを行い選定した C) 背景疾患のない肺腺癌、D) 癌を合併していない特発性間質性肺炎の外科的生検検体 の4種類の組織を用いて、一般的に癌関連線維芽細胞(cancer associated fibroblast: CAF)のマーカーとして知られている複数のタンパクの発現について、免疫組織化学的検討を行った。間質性肺炎合併肺腺癌の癌部の間質 (A) では、非合併群 (C) と比較して、α平滑筋アクチン (alpha smooth muscle actin: αSMA) の発現率が低く、ポドプラニンの発現率が高かった。また、非癌部 (B) の線維芽細胞巣の線維芽細胞に比して、線維芽細胞活性化タンパク質(fibroblast activated protein: FAP)、ポドプラニンの発現率が高かった。癌を合併していない間質性肺炎 (D) の線維芽細胞巣と比較した場合、αSMA、FAP、ペリオスチン、ポドプラニンの発現率が高かった。以上より、間質性肺炎合併肺腺癌において、組織中の線維芽細胞の、一般的なCAFマーカータンパクの発現パターンは、他疾患と比べて異なる特徴を示すことが明らかになった。現在、ホルマリン固定パラフィン包埋検体を用い、レーザーマイクロダイセクション法により間質を採取してタンパク抽出を行い、タンパク発現パターンの違いについて質量分析による、疾患毎のタンパク発現パターンについて、網羅的解析を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウイルス感染症の蔓延により、実験委託先との取引、外部業者によるレーザーマイクロダイセクション等に用いる実験機器の調整などに、遅れが生じた。加えて、実験に必要な物品の不足や、3密回避のための実験室使用制限等も、進捗の遅れに大きく影響している。

今後の研究の推進方策

間質性肺炎合併肺腺癌のCAFに特異的なタンパクを見出すため、質量分析によるタンパク発現パターンの違いについて比較検討を行っている。この検討で発現に差がついたタンパクや、特異的に発現の見られたタンパクについて、免疫組織化学的に局在を明らかにしたい。さらに、培養細胞を用いて、線維芽細胞において標的タンパクの発現を変化させた場合、癌細胞のふるまいにどのような影響を与えるか検討したい。

次年度使用額が生じた理由

主に、新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴う実験、委託、調整の遅れによる。また、参加を検討していた学会がWeb開催となった影響もある。次年度使用額は、タンパク解析の委託(その他)、免疫組織化学に用いる抗体の購入(物品費)に使用する。

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公開日: 2021-12-27  

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