研究課題/領域番号 |
20K16191
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
六反 啓文 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00782559)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 胃癌 / 低分化腺癌 / por1 / RNAシークエンス / MLH1 |
研究実績の概要 |
胃の充実型低分化腺癌(por1)は充実性増殖をする胃癌の一亜型であるが、病理組織像に多様性があり、既存の胃癌分類における位置づけにまだ議論の余地がある。また、por1胃癌の中にはマイクロサテライト不安定性等の既知の異常をもたないサブタイプも存在する。そこで本研究では、治療標的を含めた新規ゲノム異常の同定、頻度の高いゲノム異常および発現プロファイルの解明を進め、分子遺伝学的な異常と病理像に立脚したpor1疾患概念の確立を目指す。 初年度(2020年度)は、凍結検体のある症例のパラフィンブロックを優先的に研究対象とした。一部症例ではRNAシークエンスのデータをもとに融合遺伝子を検索したが、有意と解釈できるものは現時点で検出できていない。MLH1等のキー分子を含めて施行した免疫染色では、por1胃癌のなかでユニークな分子サブタイプ及び組織像を呈する症例群を、少数例ながら抽出することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
シークエンス予定であった腫瘍凍結検体に関して、HE切片を作製してその組織像および腫瘍率を確認したところ、研究目的にそぐわないことがあった。そのためシークエンスデータの取得が予定より遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
目的としたサブタイプの症例数が予想よりも少なかったため、凍結検体の有無にかかわらず、裾野を広げて症例検索をやり直すこととする。また、サブタイプに拘泥せずpor1疾患単位全体を俯瞰する研究デザインとしつつ、一般的な臨床病理学的因子との相関の解析も進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
凍結保管していた腫瘍余剰検体をシークエンスする予定であったが、HE切片を作製したところ、目的とした腫瘍像と異なったり腫瘍含有率が不足したりした。その影響で、初年度のシークエンス費用が少なく計上された。生じた差額については、2年度目のシークエンス費用に充てる予定である。
|