糖の代謝物である乳酸を、やりとりするための輸送体であるモノカルボン酸トランスポーターおよび、その受容体について詳細にヒト剖検脳を用い実験を行いました。ヒト脳の脈絡叢という組織に、乳酸の輸送体や受容体が確認され、ここから乳酸が取り込まれ、なんらかの働きをしていると考えられます。 この結果をまとめ"Immunoreactivity of receptor and transporters for lactate located in astrocytes and epithelial cells of choroid plexus of human brain"として論文投稿を行い、Neuroscience Letters という雑誌採択され、2021年1月11日に掲載されました。 詳細は専門的にすぎるため省きますが、このモノカルボン酸トランスポーターのうちの2種類が脈絡叢の上皮において、ちょうど対側に位置していることが確認されました。存在が確認されているだけれ機能については不明ですが、3つの研究計画のうちの実験1についてはある程度達成できました。実際の認知症患者さんや糖尿病患者さんでの研究結果が望まれますが、ブレインバンクからの提供は困難を極めるとのことで本年度は香川大学医学部でのデータをもとに報告しました。 コロナウイルス感染症の影響もあるため、ある程度計画については変更しつつこれから乳酸過剰投与状態での脈絡叢について評価していく予定です。
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