研究課題/領域番号 |
20K16204
|
研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
佐藤 啓 愛知医科大学, 医学部, 講師 (40732699)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 末梢性T細胞リンパ腫,非特定型 / Lymphoepithelioid type / 組織球 / CD30免疫染色 |
研究実績の概要 |
我々は末梢性T細胞リンパ腫, 非特定型(PTCL-NOS)の微小環境に着目しており、PTCL-NOSの微小環境と臨床病理学的特徴との相関を明らかにすることで、その病因・病態を解明すことを目的としている。 これまでにPTCL-NOSの中で類上皮様組織球の高度な増生を伴うLymphoepithelioid type(LeL)と、LeLと鑑別となる組織型であるAngioimmunoblastic T-cell lymphoma with high content of epithelioid cells(AITL-EPI)を比較する臨床病理学的検討を行った。AITL-EPIはLeLに比べ有意に予後不良であることが分かった。またLeLとAITL-EPIでは類上皮様組織球は全例CD68に陽性を示したが、CD163に関してはLeLでは全例陰性であったのに対し、AITL-EPIでは1/3の症例で陽性を示した。従ってLeLとAITL-EPIでは増生するマクロファージの性質に違いを認め、これが両者の予後の違いに関係していることが示唆された。この結果の詳細については現在論文投稿中である。 この他に、PTCL-NOSを含むPTCLにおいて使用する自動染色装置の種類により、CD30免疫染色の結果に違いが生じることが分かった。PTCLにおけるCD30免疫染色は診断や治療方針を決定するうえで重要であり、均質化することが望まれる。これまでの検討から一般的に広く普及しているBond、Omnis、Ventanaの三種の自動染色装置で検討したところ、Omnis、Ventanaでは高感度リンカーを用いてCD30免疫染色を行う必要があることが分かった。現在、更に症例を増やして検討中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
解析を進めるのに適したPTCL-NOS症例の集積が予定より遅れたためである。
|
今後の研究の推進方策 |
研究当初はRNAscopeを用いてPTCL-NOSの微小環境におけるサイトカインの多寡、分布の解析を行う予定で、種々のサイトカインのRNAscopeを行ってみたが、probeの質が良くないものもあり、実際に研究を推進していくのは困難であると判断した。 今後はまずLeLとAITL-EPIの臨床病理学的研究に関しては、論文掲載を目指す。 また概要で述べた、PTCL-NOSを含むPTCLにおけるCD30免疫染色に関する研究に関しては、症例を増やしたうえで解析を行い、論文作成をする予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
解析を進めるのに適したPTCL-NOS症例の集積が予定より遅れたためである。今後は収集した症例に対し、免疫染色等の種々の解析を進めていくにあたり、必要な抗体や試料を購入する。また研究成果の発表を学会で行う予定であるので、学会参加費や交通費に使用する。
|