研究実績の概要 |
最終年度は、前年度に引き続き末梢性T細胞リンパ腫, 非特定型(PTCL-NOS)を含むPTCLにおけるCD30免疫染色の均てん化に関する研究を症例数を増やして継続した。最終的にPTCL60件で検討を行ったところ、Ventana BenchMark ULTRA(OptiView)、Bond III(200-400倍希釈)、Dako Omnis(リンカーあり、100-200倍希釈) の条件で免疫染色を行うとCD30の染色性、陽性率が同程度になることが分かった。この他に、組織診断時に古典的ホジキンリンパ腫(CHL)との鑑別が問題となる微小環境中にHodgkin/Reed-Sternberg (HRS)類似の細胞(HRS様細胞)が出現するPTCLについて解析を行った。病理診断時にPTCLとCHLの鑑別が問題となる症例ではpSTAT6, STAT6, PD-L1の免疫染色が両者を区別するのに有効であることを明らかにした。 研究機関全体を通しては上記以外にPTCL-NOSの中で類上皮様組織球の高度な増生を伴うLymphoepithelioid type(LeL)と、LeLと鑑別となる組織型であるAngioimmunoblastic T-cell lymphoma with high content of epithelioid cells(AITL-EPI)を比較する臨床病理学的検討を行った。AITL-EPIはLeLに比べ有意に予後不良であり、またLeLとAITL-EPIでは類上皮様組織球は全例CD68に陽性を示したが、CD163に関してはLeLでは全例陰性であったのに対し、AITL-EPIでは1/3の症例で陽性を示した。従ってLeLとAITL-EPIでは増生するマクロファージの性質に違いを認め、これが両者の予後の違いに関係していることが示唆された。
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