研究課題
未分化大細胞型リンパ腫(Anaplastic large cell lymphoma: ALCL)はT細胞リンパ腫の独立した疾患単位であり、ALK遺伝子の転座を伴うALK陽性ALCLとALK陰性ALCLに分類されている。ALCLは一般的なT細胞性リンパ腫である末梢型T細胞性リンパ腫、分類不能型(periphearl T-cell lymphoma, not otherwise specified: PTCL-NOS)よりも予後良好であることが知られており、ALCLの腫瘍細胞のフェノタイプがPTCL-NOSと異なることが過去に報告されている。近年、がんの免疫微小環境が予後や治療効果に重要であることが知られているが、ALCLの免疫微小環境については未知な部分が多い。本研究で我々は18例のALCL症例についてnCounter遺伝子発現解析とCODEXによるシングルセル解析を試みた。nCounterで18例のALCLと68例のPTCL-NOSについてがん免疫関連の遺伝子発現を比較したところ、ALCLではPTCL-NOSと比較して優位にCD47、hepatitis A virus cellular receptor 2 (HAVCR2)、CD163などの免疫関連遺伝子の発現が亢進していた。CD47はSIRPαとともに"Don't eat me signal"としてがん細胞の免疫逃避に関与している。免疫染色でALCLではPTCL-NOSと比較して有意に腫瘍細胞のCD47発現が高率に見られ、SIRPα陽性の間質細胞も増加していた。HAVCR2、CD163についても免疫染色でALCLにおける有意なタンパク発現の上昇を確認した。CODEXでこれらのタンパクについてシングルセル解析を試みているが、関連試薬の納期延長や条件調整の難航から解析が終了しておらず、本年度中の完了を目指している。
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