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2020 年度 実施状況報告書

ライブセル膜動態可視化によるインフルエンザウイルス侵入に伴う膜形態形成機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K16211
研究機関北海道大学

研究代表者

吉田 藍子  北海道大学, 医学研究院, 助教 (70831288)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2022-03-31
キーワード高速原子間力顕微鏡 / 上皮成長因子 / クラスリン依存性エンドサイトーシス / 膜ナノ動態 / ライブセルイメージング / 相関イメージング / TIRF/HILO / Src
研究実績の概要

【項目1:高速AFMとHILOの融合】
本年度は、所属研究室で稼働中のライブセル高速原子間力顕微鏡(atomic force microscope, AFM)と薄層斜光照明技術(highly inclined and laminated optical sheet, HILO)の融合を目指した。周囲のスペースに制限のあるAFM筐体にHILOを取り付けるためにはHILO照明系を小型化する必要があった。そこで、HILOユニットの光路を短縮しレーザーを空間照射からファイバー照射へと変えた。その結果、レーザー光源ユニットをHILOの本体ユニットから独立化することができ、高速AFMに実装可能な小型化HILOユニットを作製することができた。
【項目2:ハイブリッド顕微鏡を用いたPMDの可視化・解析】
これまでに、高速AFMを用いた膜ナノ動態観察によって、クラスリン 依存性エンドサイトーシスを効率的に行うための予めプログラムされた膜ドメイン(preprogrammed membrane domain, PMD)が存在することを示唆する結果を得ている。PMDでのエンドサイトーシスは上皮成長因子(EGF)の外部刺激で亢進するという予備データを得ていた。本年度は、EGF受容体をターゲットとしたRNA干渉により、EGF刺激時のPMDの亢進が抑えられることを見出した。つまり、EGF受容体の発現レベルがエンドサイトーシスが起きる場所の決定に重要であることが考えられた。次にEGF受容体の下流シグナルの関与を各種阻害薬と機能欠失変異体を用い検証した。その結果、PMDにはEGFRチロシンキナーゼ活性が関与すること、SrcがPMDの形成制御因子であることを見出した。Rasシグナル伝達経路は関与しなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

項目1のAFMとHILOの融合に関して、小型化HILOユニットを作製することができたことは大きな進歩であった。顕微鏡筐体へ取り付けたHILOユニットを用い、A431細胞で蛍光標識EGFとEGFP融合クラスリンの動態を同時に観察することができたことから、HILOユニットの動作に問題はないと考える。
項目2に関しては、本年度の目標としていたPMD形成を制御するシグナル因子の同定をすることができた。R2年度に行うべき課題はクリアした。
したがって、全体としては概ね予定通りに進展していると判断できる。

今後の研究の推進方策

R3年度は、研究項目1と2を引き続き進めるとともに、計画通り研究項目3に着手する。研究項目1では、HILOを用いてAFM観察面と同じ頂端側細胞膜のみを励起し、高いシグナルノイズ比の蛍光画像取得を実現させる。研究項目2では、PMDを高速AFMで観察すると同時に、EGF刺激前後のPMD内での膜構成成分の分布の変化をHILO顕微鏡で観察する。EGFやEGF受容体、エンドサイトーシス関連タンパク質を観察の対象とし、PMDが細胞内在化のためのゲートであるかを検証する。研究項目3では、ウイルス侵入の過程で開かれるゲートをAFMを用いて検証する。阻害薬を用いた実験により、カルシウムシグナルやEGFRシグナル、Srcシグナルのゲート形成への関与を調べる。

次年度使用額が生じた理由

研究項目2でのAFM観察で、当初の計画で試算していたほどの消耗品(カンチレバーと特殊スライドガラス)が出なかったことが次年度使用額発生の主な理由である。R3年度では、消耗品の購入と英文校正、論文出版費として使用する。

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公開日: 2021-12-27  

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