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2020 年度 実施状況報告書

がんの三次元病理解析基盤の確立

研究課題

研究課題/領域番号 20K16212
研究機関東京大学

研究代表者

久保田 晋平  東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任研究員 (90808859)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2022-03-31
キーワード組織透明化 / がん微小環境 / がん転移
研究実績の概要

がんの発生、進行、転移は遺伝子変異を生じたがん細胞が単独で引き起こしているわけではなく、がん細胞を取り巻く多種類の細胞間相互作用を必要とする。研究者らはがん微小環境における細胞間相互作用について理解を深めてきたが、がん微小環境を構成する細胞の組成および相互作用が、時空間的に、治療に応じてどのように変化するのかについては使用可能な研究手法が制限されているために依然として未解明である。近年の網羅的オミクス技術の開発により、細胞内の遺伝子ネットワーク、タンパク質ネットワークを対象とする基盤技術は揃いつつあるが、がんを始めとした多細胞システムを理解する上では細胞ネットワークを対象とする基盤技術が必要である。申請者は個体レベルで表出する高次の生命現象の理解を実現するために個体内の細胞の位置情報を保持した状態で細胞の機能情報を包括的に解析する手法が必要だと考え、組織透明化手法に着目し開発を進めてきた(Tainaka*, Kubota* et al., Cell, 2014, Kubota*, Takahashi* et al., Cell Reports, 2017)。本研究では、この方向性をさらに推し進め、組織透明化を用いた最先端イメージング技術と機械学習など大容量画像の解析技術を融合することによりがんの三次元病理学解析手法を確立した(Kubota et al., Communications Biology, 2021)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

機械学習など大容量画像の解析技術を融合することによりがんの三次元病理学解析手法を確立した。
また本手法を用いることで、がんの転移に関与するサイトカインであるTGF-betaが、がん微小環境を変えることでがんの転移を促進するという、がん微小環境の新たなリモデリング機構を見出した。

今後の研究の推進方策

確立した三次元病理学解析手法を応用することで、がん転移におけるがん細胞と血管、リンパ管、免疫細胞の相互作用の解明に取り組む。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍により研究遂行を想定通りに進めることが困難であったため。
研究を加速するため、画像解析に必要な基盤のセットアップ、人件費として使用することを計画している。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] ワシントン大学(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      ワシントン大学
  • [雑誌論文] Whole-organ analysis of TGF-β-mediated remodelling of the tumour microenvironment by tissue clearing2021

    • 著者名/発表者名
      Shimpei I. Kubota, Kei Takahashi, Tomoyuki Mano, Katsuhiko Matsumoto, Takahiro Katsumata, Shoi Shi, Kazuki Tainaka, Hiroki R. Ueda, Shogo Ehata, Kohei Miyazono
    • 雑誌名

      Communications Biology

      巻: 4 ページ: 1-15

    • DOI

      10.1038/s42003-021-01786-y

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Whole-organ quantitative analysis of the tumor microenvironment by tissue clearing2021

    • 著者名/発表者名
      Kubota Shimpei I.、Takahashi Kei、Mano Tomoyuki、Matsumoto Katsuhiko、Katsumata Takahiro、Shi Shoi、Tainaka Kazuki、Ueda Hiroki R.、Ehata Shogo、Miyazono Kohei
    • 学会等名
      第93回日本薬理学会
  • [学会発表] Whole-organ quantitative analysis of cancer metastasis with single cell resolution2020

    • 著者名/発表者名
      Kubota Shimpei I.、Takahashi Kei、Nishida Jun、Ehata Shogo、Miyazono Kohei
    • 学会等名
      第79回日本癌学会
  • [図書] シングルセル解析でなにがわかるか2020

    • 著者名/発表者名
      久保田晋平 他多数
    • 総ページ数
      200
    • 出版者
      化学同人
    • ISBN
      9784759817348
  • [備考] TGF-betaを介したがん微小環境リモデリング機構の発見

    • URL

      https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/articles/z0508_00103.html

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公開日: 2021-12-27  

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