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2020 年度 実施状況報告書

酸化ストレス制御による骨粗鬆症の新たな治療戦略:遺伝子欠損モデルラットを用いて

研究課題

研究課題/領域番号 20K16222
研究機関島根大学

研究代表者

藤川 晃一  島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 助教 (60782969)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード骨折治癒 / 骨粗鬆症 / 活性酸素
研究実績の概要

活性酸素を「制御」的に産生する酵素であるNADPH oxidase(Nox)が、骨組織のホメオスタシスの維持や骨病態に関与していることが明らかとなってきたが、その詳細なメカニズム(骨組織のどの細胞で、どのサブタイプのNoxが、骨病態に関与しているのか)は未解明な部分が多い。本研究では、老人性の低代謝回転型骨粗鬆症モデルラットであるSHRSPをもとにゲノム編集により作出したNox2とNox4を欠損するラットを用いることで、個々のNoxサブタイプの骨折治癒と骨粗鬆症という2つの骨病変での役割の詳細を明らかにすることを目的としている。
本年度は、SHRSPの対照ラットで骨粗鬆症をみとめないWKYと骨粗鬆症モデルSHRSP、Nox2欠損SHRSP、Nox4欠損SHRSPおよびNox2, 4両方の機能が喪失するp22phox欠損SHRSPを使用し、2か月齢および7か月齢の時点で骨折モデルを作成し、骨折治癒過程の観察を行った。その結果、術後8週の時点で、WKY、SHRSP、Nox4欠損SHRSPでは、骨折部位の治癒が進んでいたが、Nox2機能が欠損しているNox2欠損SHRSPとp22phox欠損SHRSPにおいては、骨折部位の過剰な膨隆が認められた。現在は、今後の詳細な検討を行うために、骨折術後4および8週の時点での骨折骨の回収と血清の回収を進めている。
さらに、卵巣摘出術による閉経後骨粗鬆症モデルの作成も進めており、大腿骨および腰椎、血清の回収を行ってきた。WKY、SHRSP、p22phox欠損SHRSPを用いて、大腿骨および腰椎の脱灰後、薄切切片を作成した。その結果、卵巣摘出群ではいずれの系統でも骨量が減少しており、骨粗鬆症病態を作成することができたが、系統間に差は認められなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

実験に必要な動物は、所属大学動物施設で交配して確保しているため、特段の問題なく研究を進められており、Nox2欠損ラットに特異的な骨折治癒の異常を確認することができているため。

今後の研究の推進方策

引き続き、骨折部分の検討を進め、どのようなメカニズムによってNox2の欠損が過剰な骨膨隆に至るのかを探索していく。そこで、血清中の骨形成マーカーおよび骨吸収マーカーの測定を行う。さらに、骨折部位の骨組織からmRNAを回収し、骨芽細胞や破骨細胞、間葉系幹細胞などの分化マーカーを中心に異常が生じていないか探索していくことを予定である。
また、9か月齢のラットの大腿骨を回収しており、老人性骨粗鬆症の程度を評価するために、microCT撮影および3点強度試験を行っていく予定である。また、同様の検討を閉経後骨粗鬆症モデルにおいても行っていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

本年度は、主に、モデル動物の作成を行ってきたため、手術での消耗品、薬物等の購入に経費を使用したが、測定キットなどの購入が次年度に先送りとなった。また、コロナウィルス感染症の感染拡大により、学会への参加を見送ったことにより、旅費を使用しなかった。これらの理由から、繰越金が生じた。
次年度は、当初の計画通り、骨折部位での異常の詳細な検討を行うため、PCR用のプライマーや骨代謝マーカーの測定ELISAキットの購入などに助成金を使用する予定である。

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公開日: 2021-12-27  

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