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2021 年度 実施状況報告書

糖類の中腸環境改変効果を利用した吸血昆虫における病原体媒介因子の特定

研究課題

研究課題/領域番号 20K16237
研究機関自治医科大学

研究代表者

水島 大貴  自治医科大学, 医学部, 助教 (50843455)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード糖類 / マラリア / ハマダラカ / 中腸細菌叢 / リーシュマニア / サシチョウバエ
研究実績の概要

マラリアやリーシュマニア症は、ヒトに深刻な症状を呈する吸血昆虫媒介感染症である。両病原体が感染可能な吸血昆虫は決まっているが、どのような因子によって規定されているのかは不明である。本研究では、病原体の発育・ヒト感染能力を獲得する上で重要な吸血昆虫の中腸に着目し、生体調節機能を有する糖類を用いて中腸環境を変化させることで感染の成否を決定づける因子を明らかにする。本年度の研究実績の概要は以下の通りである。
1)16S rRNA遺伝子をターゲットとしたハマダラカ中腸細菌叢解析を実施し、アロース摂取・未摂取群の間で細菌叢の多様性に顕著な差がないことを明らかにした。2)定量PCRにより、アロース摂取・未摂取群のハマダラカ中腸の細菌量を定量した。アロース摂取群は、未摂取群のように吸血後に細菌量が急激に増加することなく、一定の細菌量を保っていることを明らかにした。3)前年度に明らかとなったアロース摂取群の中腸で顕著に発現変動する遺伝子ASTE016377について解析を行った。NCBI/Blast解析によりASTE016377はキサンチンデヒドロゲナーゼ(XDH)遺伝子であると推定した。4)XDH酵素活性の測定系を確立し、中腸破砕液中にXDH酵素活性があることを確認した。5)人工吸血法によるサシチョウバエへのリーシュマニア原虫感染効率の向上を目的に、サシチョウバエがチキンエキスにより誘引されるか試みた。その結果、市販チキンエキスにはサシチョウバエを誘引する効果が認められなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ハマダラカ・マラリア原虫感染モデルにおいて、ハマダラカ中腸細菌叢やこれまでに報告されている免疫関連因子以外の遺伝子について解析し、それらをアロース摂取時のマラリア原虫感染に関わる因子として絞り込むことに成功した。そのため、ハマダラカとマラリア原虫感染モデルにおいては順調に進捗している。一方で、サシチョウバエ・リーシュマニア感染モデルにおいては、人工吸血法によるリーシュマニア感染が想定外に難航しているため、糖類のスクリーニング等、以降の計画が遅延している。

今後の研究の推進方策

ハマダラカ・マラリア原虫感染モデルにおいては研究計画通りに進行している。今後は、RNAi法を用いた遺伝子操作により、XDH遺伝子をノックダウンさせた時のハマダラカ中腸におけるマラリア原虫の感染性を解析する予定である。サシチョウバエ・リーシュマニア感染モデルについては、チキンエキス以外の誘引剤も用いて人工吸血法の改善を試みる他、リーシュマニア感染マウスの病変部からの吸血による感染を代替方法として実施する予定である。当動物実験については、倫理委員会からすでに承認を得ている。

次年度使用額が生じた理由

サシチョウバエ・リーシュマニア感染実験が難航しており、実施予定であったサシチョウバエ中腸における次世代シークエンス解析(中腸内細菌叢解析およびトランスクリプトーム解析)が遅延したため、次年度使用額が生じた。感染実験ができ次第、次世代シークエンス解析を実施し、翌年度分と合わせて使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] ハマダラカの中腸環境を変化させる糖類のスクリーニング2021

    • 著者名/発表者名
      水島 大貴, Ahmed Tabbabi, 山本 大介, 新井 明治, 加藤 大智
    • 学会等名
      第90回日本寄生虫学会大会・第32回日本臨床寄生虫学会大会合同大会

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公開日: 2022-12-28  

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