前年度に構築したde novo assemblyのパイプラインを改善し(主にコンタミ配列の確認のプロトコルを統一した)、アセンブリをやり直した。アセンブルの品質の評価はBUSCOで行い、ロングリードとショートリードの併用で、最終的に98%程度のスコアを達成した。 得られたゲノムに対して、遺伝子情報を推定するため、RNA-seqのためにRNA抽出法を立ち上げるところから始めた。最終的にRNA-seqに必要なRNA量が得られるのに3ヶ月ほどかかった。本種ではDNA抽出自体が難しかったが、RNA抽出はさらに分解しやすく極めて難易度が高かった。またRNA抽出のプロトコルは、共同研究者がこれまでに行った植物のRNA抽出法をベースとして利用したが、微妙な差違によって、RNAの品質に大きな違いが出たことが分かった。 得られたRNAは、ゲノム支援において、PacBio/Iso-Seqを用いた完全長アイソフォームの情報を元にした、遺伝子アノテーション予測を進めて貰った。その結果、菌株間の遺伝子配列の一致率が低めであることが示唆された。 さらにゲノムの多様性を反映するような表現型の多様性を探索するために予備解析として菌体の画像解析を行った。その結果、菌体の形態に株固有の特徴が反映されている可能性が示唆された。 なお、温度耐性が広い本種の特徴を捉える目的で、本研究費で予算内に収まる格安で小型の培養器を購入した。所属機関には植物や菌類の研究に用いることのできる人工気象器がなかったためである。この培養器は温度など環境制御のトラブルが生じやすく、培養できる数も少ないので、今後の課題である。
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