研究課題/領域番号 |
20K16261
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
吉森 真由美 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 特任助教 (20816053)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 慢性活動性EBウイルス感染症 / マイクロRNA / miR-BARTs / エクソソーム / 傍腫瘍細胞 / マクロファージ / 次世代シーケンサー |
研究実績の概要 |
慢性活動性EBウイルス感染症 (CAEBV) は進行性、治療抵抗性のEBV陽性T, NK細胞腫瘍である。EBVゲノム上にはマイクロRNAであるmiR-BARTsをコードする遺伝子が存在し、EBV陽性B細胞腫瘍において、miR-BARTsはエクソソームに内包されて細胞外へと分泌され、 周囲の細胞に伝播されて腫瘍発症に寄与することが報告された。このことから、CAEBVをはじめとするEBV陽性T, NK細胞腫瘍においても同様のメカニズムが存在していると推測した。本課題では、CAEBVの発症、病態形成における、腫瘍細胞から放出された分泌型miR-BARTsの機能を解析する。 本年度は分泌型miR-BARTsの発現プロファイルと臨床像との比較を目的として、CAEBVおよびその類縁疾患の細胞株培養上清から超遠心法で分離したエクソソーム、および患者血漿からRNAを抽出し、次世代シーケンサー (NGS)、定量PCRで分泌型miR-BARTsの発現量を測定した。引き続き患者試料の収集に努め、さらに臨床像および予後との相関を解析してゆく。また、分泌型miR-BARTsの腫瘍細胞に対する機能制御を検討するために、傍腫瘍細胞としてどのような細胞が存在するのかを検討する。本年度は抗体付磁気ビーズを用いてフェノタイプごとに分離した末梢血試料の収集、および組織を用いたmiR-BARTsに対するin situハイブリダイゼーション法の検討を開始した。 本課題に資する研究報告を、第25回欧州血液学会および第82回日本血液学会学術集会で発表した。本報告はCAEBVを含むEBV陽性NK腫瘍におけるHLH発症機序の一端を解明した重要な報告である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究はおおむね順調に進んでいるが、コロナ禍で新規患者が減少し、試料収集が想定していたほど集まっていない。これまでに保存していた試料で対応している。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度の研究計画に則り実行する。本年度実施した次世代シーケンサー解析をもとに、「分泌型miR-BARTsの発現プロファイルと臨床像との比較」を行う。さらに、すでに着手している「病変組織、末梢血の傍腫瘍細胞におけるmiR-BARTsの発現解析」について検討を進め、明らかになった傍腫瘍細胞を用いて「分泌型miR-BARTsの機能解析」を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍にあり、新規患者減少のため、必要な消耗品が想定よりも少なかった。in-situ hybridizationに着手しているが、マイクロRNAを対象とするin-situ hybridizationは極めて難易度が高いため、細かな条件検討が必要であるため、昨年度余剰金を使用して鋭意研究を遂行していく所存である。
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