研究実績の概要 |
これまでに申請者は、マウスを用いた実験により、インフルエンザワクチン・アジュバント (Aタイプ/BタイプCpG ODN, R848またはpoly I:C) 接種時に肺、脾臓、血液および骨髄のpDCのうち、特に肺で顕著なpDCの集簇が認められることを見出している。 令和2年度では、インフルエンザワクチン・アジュバント (Aタイプ/BタイプCpG ODN, R848またはpoly I:C) 接種時に、肺に集簇するPDCA1+CD11c+CD11b+B220-F4/80-のマクロファージ様pDCのサブセットの中から、ワクチン未刺激・未感染時と比較して特に顕著な増加が認められ、かつ抗原提示関連因子 (CD86, CD80, CD40, I-A/I-E、H-2k等) の発現強度の高い細胞集団をフローサイトメーターで解析・同定することを目的とした。その結果、CD9+CD81+の細胞集団において特に、抗原提示関連因子が高いことが判明した。さらにTLRの発現を解析したところ、TLR7およびTLR9を発現することを見出した。さらに、同定したサブセットについて、pDC特異的に発現するe2-2遺伝子の発現が認められることを見出した。また、ギムザ染色から、細胞の形態はpDCに近いが、突起状の形状を持つことが明らかになった。以上の結果から、肺に集簇するPDCA1+CD11c+CD11b+B220-F4/80-CD9+CD81+のマクロファージ様pDCのサブセットが、TLRを発現し、高い抗原提示能を有することが見出され、当該pDCサブセットが、肺における感染免疫やワクチン免疫に重要な役割を担っていることが示唆された。
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