研究課題/領域番号 |
20K16269
|
研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
佐々木 永太 国立感染症研究所, 血液・安全性研究部, 主任研究官 (40762216)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 樹状細胞 / 粘膜免疫 / アジュバント / インターフェロン / ワクチン |
研究実績の概要 |
本年度は、骨髄由来樹状細胞 (FL-DC) を作成し、同定したマクロファージ様pDC サブセットの分化機構を解析した。その結果、CpG ODNや1型IFN誘導型アジュバントによるCD11c+B220+細胞からマクロファージ様pDC サブセットし、CD11c+PDCA11+細胞からはほとんど分化しないことを見出した。さらに、分化が完了することで、PDCA1の発現が上昇することを見出した。pDCマーカーとして使用されているSiglec-Hの発現変動は、ほとんど認められなかった。さらに、1型IFN受容体ノックアウトマウスのFL-DCでも、マクロファージ様pDC サブセットへの分化誘導が認められた。このことから、1型IFNはマクロファージ様pDC サブセットへの分化に寄与しないことを見出した。 同定したマクロファージ様pDC サブセットのアジュバント刺激による産生サイトカインを解析したところ、IFNαの産生が認められたが、それは定常状態のpDCよりも低値を示した。また、Il-6等の炎症性サイトカインはほとんど分泌しないことを明らかにした。 さらに、1型IFN受容体ノックアウトマウスでは、CpG ODNや1型IFN誘導型アジュバントによる肺へのマクロファージ様pDC サブセットが認められず、ワクチン抗原特異的なIgA抗体価の上昇も著しく低下することを見出した。さらに、初代培養細胞や、CXCR3中和抗体を用いた実験によって、マクロファージ様pDC サブセットの肺への集簇にはIFNを介したCXCL9-11とpDCに発現するCXCR3が重要であることを見出した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、マクロファージ様pDCへの分化機構における1型IFNの関与や、前駆細胞を明らかにすることができた。さらに、肺へのマクロファージ様pDCの集簇にCXCLケモカインとCXCR3が関与し、この現象が1型IFN誘導型アジュバントによるものであることを見出すことができた。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、マクロファージ様pDCの機能解析を行う。インフルエンザウイルス感染モデルや、B細胞活性化評価を行い、感染免疫におけるマクロファージ様pDCの機能を明らかにする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は昨年度に購入した試薬等を用いて実験を行なったため、支出実績が生じなかった。 次年度は、計画通り、感染実験や免疫学的解析に行う費用に充てる。また、ヒトPBMCのマイクロアレイデータの取得が完了していないので、残額を使用して、マイクロアレイデータの取得完了を行う。
|