研究実績の概要 |
同定したpDCサブセットのB細胞活性化、形質細胞分化促進作用を明らかにするため、同定したマウスpDCサブセットとB細胞 (CD19抗原陽性) をセルソーターによって分取し、in vitroで、IL-2, IL-10およびCD40L存在下で12日間共培養し、培地中IgGおよびIgM濃度を測定したところ、pDC存在下においてIgGおよびIgM産生が認められた。同定したpDCサブセットが抗原特異的抗体産生を強く誘導させるのかを明らかにするため、同定したpDCサブセットおよび、それ以外のpDCサブ セットをセルソーターによって分取し、in vitroにおいてインフルエンザ抗原にパルスさせた後、無感作のマウスに移植し、2週間後に血清中の抗原特異的抗体量の測定した。その結果、同定したpDCサブセットを移植したマウスにおいて、強い抗原特異的IgG抗体価の上昇が認められた。さらに、抗原パルスしたpDCサブッセットを気管支内移植したところ、移植されたマウスにおいて抗原特異的IgA抗体価の誘導が認められた。このことからpDCサブセットは局所において抗原提示を行い、液性免疫を誘導することが明らかになった。 抗原パルスしたpDCサブセットを移植したマウスにインフルエンザH1N1ウイルスを感染させ、体重減量を評価したところ、抗原パルスをしていないpDCサブセットを移植したマウスと比較して、体重減少は有意に抑制された。 以上の結果から、本研究では同定したpDCサブセットが肺や気管支におけるIgA抗体産生に関与し、呼吸器系ウイルス感染防御において重要な役割を担うことを見出した。
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