研究課題
CD4 T細胞は獲得免疫応答において司令塔としての役割を果たすリンパ球である。これに対し我々は、同細胞中に、T細胞であるにも拘わらず自然免疫機能を有する新たな「Memory-phenotype (MP)細胞」を同定した。この発見に基き、本研究では、MP細胞の質的特異性、産生・分化・活性化機構、免疫学的機能を明らかにすることを目的とした。以下の様に研究は順調に進展し、我々は新たな研究領域「MP細胞免疫学」を提唱・確立しつつある(Cold Spring Harb Perspect Biol 2021, Int Immunol 2022)。(1) MP細胞の質的特異性:MP細胞と抗原特異的メモリー細胞とを鑑別するマーカーを3種類発見し、このマーカーを用い、MP細胞を4分画に分類することに成功した(投稿中)。また、MP細胞のTCRレパートリーを解析し、自己特異的MP細胞のCDR3配列を同定した。さらに、ヒトMP細胞についてもその存在を証明しつつある。(2) MP細胞の産生・分化・活性化機構:上記のMP細胞4分画の産生・維持・分化機構を解析し、MP細胞が動的平衡状態にあることを発見した(投稿中)。一方、MP細胞がT-bet(+) MP1、Gata3(hi) MP2、RORgt(+) MP17等の複数のサブセットからなる可能性を見出すとともに、うち約半数を占めるMP1分画の分化機構や自然免疫機能を解明した(Nat Commun 2020)。(3) MP細胞の免疫学的機能:MP細胞は自己反応性を有することから自己免疫活性を有する可能性が想定されるが、定常状態においては同炎症原性は制御性T細胞等により抑制されているものと類推される(Curr Opin Immunol 2020)。現在、同仮説を鋭意検証中である(投稿準備中)。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件)
Int Immunol
巻: 34 ページ: 189-196
10.1093/intimm/dxab108
Cold Spring Harb Perspect Biol
巻: 13 ページ: a037879
10.1101/cshperspect.a037879