研究実績の概要 |
A) EBI2誘導的欠損マウスの解析 本研究室のデータ (Inoue et al., J. Exp. Med., 2020)から、記憶B前駆細胞でEBI2の発現が上昇していることがわかっている。そこで、NP抗原特異的CreERT2 EBI2 floxマウスにタモキシフェンを投与した後、このマウス由来B細胞をレシピエントマウスに移入し、NP-CGG免疫で誘導される記憶B細胞の数を評価した。しかし、コントロール群とEBI2欠損群で有意な差は得られなかった。記憶B細胞では他のケモカイン受容体(CCR6やCXCR3)も上昇するので、これらも同様に欠損させる必要があるかもしれない。 B) TACI誘導的欠損マウスの作製 昨年度の結果から、記憶B細胞でBAFF受容体であるTACIの発現上昇が観察された。そこで、NP抗原特異的CreERT2 TACI floxマウスを作製した。 C) Ym1-DTRマウスの解析 昨年の結果から、好中球がBAFFを発現していることが明らかになった。そこで、好中球を除去できるマウスとして、Ym-1 DTRマウスを使用した (Ikeda et al., Sci. Immunol., 2018)。DT投与により、脾臓の好中球は10分の1まで減少したが、この条件において、記憶B細胞の減少は観察できなかった。以上のことから、好中球のみのBAFFが記憶B細胞の生存を支えているわけではないことが示唆される。
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