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2021 年度 実施状況報告書

GLP-1受容体作動薬による免疫学的効果を介した代謝異常症の治療開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K16292
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

伊藤 新  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (60528321)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワードGLP-1受容体作動薬 / T細胞 / アネルギー
研究実績の概要

本研究は、2型糖尿病での炎症の主座は肝内免疫担当細胞であり、GLP-1受容体作動薬が肝内免疫担当細胞、特にT細胞にアネルギーを誘導し、過度の炎症起点が制御されNAFLDおよび全身の糖脂質代謝異常が是正される、との仮説の検証を目的としている。
令和3年度においては、in vitroにおいて雌性Balb/cマウスの脾臓から抽出したCD4T細胞サブセットのGLP-1Rの遺伝子および蛋白発現をqPCRおよびフローサイトメトリーを用いて解析した。また、GLP-1RA存在下でCD3/28抗体を用いて活性化し、GLP-1Rの発現を検討した。また、同マウスへ抗CD3抗体投与後の肝臓、脾臓、末梢リンパ節のT細胞サブセットのGLP-1R発現をフローサイトメトリーで検討した。
その結果、抗CD3抗体投与後のマウスの脾臓や肝内リンパ球でGLP-1R陽性CD4陽性T細胞の有意な増加を認めた。また、in-vitroの系においてもTh1,Th2,Th17,調節性T細胞の各ヘルパーT細胞へ分化させたT細胞にてもGLP-1Rの遺伝子および蛋白発現が増加していることを見出した。
これらはGLP-1受容体作動薬が特に活性化あるいはメモリーT細胞上に発現しているGLP-1受容体へ直接作用し、アネルギーなどのT細胞の機能変化をもたらし、その結果脂肪肝を抑制するという、本研究の仮説を支持する重要な検討結果と考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

令和3年度はT細胞アネルギーを誘導するGLP-1シグナリングの同定を目指した。令和2年度から令和3年度に遂行を遅らせることとなった、T細胞における遺伝子発現の変化についても行い、GLP-1受容体作動薬が最も効果的に作用するT細胞サブセットの解析を行った。GLP-1Rの発現を遺伝子、蛋白レベルでの解析から、活性化あるいはメモリーT細胞を標的とするのが適していると判断し、解析をすすめることとした。これらのT細胞サブセットはin-vivoにおける抗CD3抗体投与や、in-vitroにおけるヘルパーT細胞誘導手技により、検討を進めるのに十分な数の細胞数が確保できるため、次年度前半に解析が容易に可能であるため、おおむね順調に進展しているものと判断した。

今後の研究の推進方策

令和3年度に完了する予定であったT細胞アネルギーを誘導するGLP-1シグナリングの同定のうち、メモリーT細胞へのGLP-1受容体作動薬作用の細胞内蛋白や機能の変化について解析を行い、GLP-1受容体作動薬によるT細胞アネルギー誘導機序の解明を目指す。また、元々令和4年度に検証を開始する予定であった、T細胞アネルギーによる肝脂肪蓄積の減少効果の検証も予定通り開始する。

次年度使用額が生じた理由

令和3年度に遂行した、GLP-1受容体を発現しているT細胞サブセットの遺伝子解析や蛋白発現レベルの解析に時間を要し、GLP-1受容体が最も効果的に作用すると思われるT細胞の特定の完了が令和3年度終盤となったため、もともと令和3年度に支出を予定していた、細胞内シグナリング解析のための、ウェスタンブロッティング用の抗体の支出を次年度前半に延期せざるを得なくなった。
しかし、ウェスタンブロッティングを用いた解析を行う検体の候補についてはすでに目星がついており、元来予定していた令和4年度の研究内容と共に令和4年度前半に使用予定である。

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公開日: 2022-12-28  

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