近年、消化管癌の治療、とりわけ化学療法の分野における発展は目覚ましい。その中で、microRNA(miR)は近年、癌におけるバイオマーカーや新規治療ツールとして注目を集めている。そこで我々は、先行研究として、食道扁平上皮癌、大腸癌におけるmicroRNA-7(miR-7)発現の臨床的意義を報告してきた。こうした背景の中で、本研究ではmiR-7の消化管癌における更なる機能解析を行い、最終的にはmiR-7を新規がん治療薬として発展させることを目的とした。 まずはmiR-7の機能解析を試みた。これまでに、miR-7 inhibitorを用いて食道扁平上皮癌細胞株にてmiR-7抑制細胞株の樹立を試みたが、上手く抑制がかからず達成できなかった。既に樹立済みであったmiR-7過剰発現細胞株(TE8を使用)を用いて抗癌剤CDDPの感受性の変化を解析したところ、miR-7過剰発現によってCDDP感受性が亢進することが分かった。 食道扁平上皮癌において、miR-7高発現が増殖能を低下させ、CDDP感受性を高めることから、miR-7が抗癌剤治療の補助的な効果を発揮できると考えられる。
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