研究課題
本研究では、消化器癌におけるIL-6の機能の臨床病理学的な解析と、抗IL-6受容体抗体の腫瘍内免疫に対する作用、および標準治療との相乗効果について検討することを目的としている。2020年度は以下の点について解析し、一定の見解を得られた。A-1 食道癌における IL-6の発現と腫瘍内免疫の検討:食道癌におけるIL-6の機能について、臨床病理学的検討により一定の見解を得られたため、症例数を増やしてCAFsとIL-6、および免疫担当細胞の関連についてさらなる検討を追加した。A-2 CAFs による腫瘍免疫抑制メカニズムの 解析(in vitro):腫瘍免疫抑制メカニズムについて、癌細胞およびCAFsのサイトカインやタンパク発現の評価により一定の結果を得られたため、細胞種を変更して再現性を確認した。A-3 抗IL-6製剤による癌細胞およびCAFsへの影響の解析(in vitro):IL-6製剤による癌細胞、C AFsの増殖能の変化について評価ができ、細胞種を変更して再現性の確認も行なった。A-4 抗IL-6製剤によるCAFs共培養腫瘍増殖抑制効果・腫瘍免疫賦活化の検討(in vivo):マウス腫瘍モデルを用いた、抗IL-6製剤による腫瘍増 殖抑制効果について一定の効果を得られた。さらに、採取した腫瘍の免疫染色やフローサイトメトリーにて、免疫担当細胞の変化も詳細に評価することができた。
2: おおむね順調に進展している
2020年度は上記のように研究をすすめ一定の見解を得ることができたため、現在までの研究結果をまとめた論文を作成している。2021年度は論文の作成を進めながら、下記の課題について同時に検討を進めていく予定である。
2021年度以降も、消化器癌におけるIL-6の機能の臨床病理学的な解析と、抗IL-6受容体抗体の腫瘍内免疫に対する作用、および標準治療との相乗効果について引き続き検証していく。これまでの研究を踏まえ、今後は以下の項目を順次検討し、明らかにする。P-1 抗IL-6製剤と化学療法・放射線療法、免疫チェックポイン ト阻害剤との併用療法の治療効果の検討(in vivo):P-4と同様のマウス腫瘍モデルにて、抗IL-6製剤を化学療法、放射線療法および免疫チェ ックポイント阻害剤と併用し、腫瘍増殖抑制効果および免疫担当細胞を評価する
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