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2020 年度 実施状況報告書

RAS野生型大腸癌細胞株における抗EGFR抗体薬の内在化機序の検討

研究課題

研究課題/領域番号 20K16305
研究機関徳島大学

研究代表者

福家 慧  徳島大学, 病院, 医員 (30780051)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードcolon cancer / EGFR / Cetuximab / Panitumumab / internalization / early tumor shrinkage / lysosome / depth of response
研究実績の概要

本研究では抗EGFR抗体薬を用いて、抗EGFR抗体薬によるEGFRの内在化の機序を明らかにするとともに、その内在化およびライソゾーム分解の過程で重要な役割を果たす蛋白質や遺伝子を抽出する。次いで、抗EGFR抗体薬の効果の高い大腸癌細胞株と低い細胞株を用いて、候補遺伝子をknockdownまたは遺伝子導入して内在化の変化及び薬剤感受性の変化を調べ、そのバイオマーカーとしての意義を明らかにする。さらに、抗EGFR抗体薬により治療している大腸癌症例の癌組織における候補蛋白質(遺伝子)の発現を調べ、治療予測のバイオマーカーとしての有用性を明らかにすることを目的にしている。
これまで我々は抗EGFR抗体薬が癌細胞表面のEGFRに結合すると、EGFRが内在化してリサイクルされないで分解されること、また免疫蛍光二重染色により、内在化したEGFRは後期エンドソームに移行しライソゾームに運ばれて分解されることを報告してきた。これまでの実験結果を背景に我々は令和2年度は抗EGFR抗体薬の効果の高い大腸癌細胞株を用いて蛍光顕微鏡により細胞膜上のEGFR量を定量化した。定量化にあたって各経路の重要な蛋白質をsiRNAによるノックダウンや特異的阻害剤を用いることによって抗EGFR抗体薬の内在化経路を同定することができた。そして抗EGFR抗体薬添加時の細胞から蛋白抽出を行いプロテオーム解析を施行した。解析結果を内在化経路に関連する文献や各種蛋白の機能と照らし合わせこれまでの内在化経路に関連する候補遺伝子を絞り込んだ。現在その候補遺伝子の細胞内局在を蛍光二重免疫で確認中である。次年度は今後は候補遺伝子をknockdownした際の抗EGFR抗体薬の効果や細胞内動態の変化を検討する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当該研究ではまず抗EGFR抗体薬によるEGFRの内在化経路の同定する必要があった。しかし各内在化経路に関わる重要蛋白のknockdown効率が十分な時間担保できず条件設定に時間を要した。また内在化経路の探索における定量化としてフローサイトメトリーを行うも抗EGFR抗体薬と他の抗EGFR抗体との細胞膜上での競合が疑われ正確な細胞膜上のEGFR数の評価に難渋。そこで二次抗体を変更することで蛍光顕微鏡による代替方法で細胞膜上のEGFR数の定量化が可能になった。またLC-MS/MSによるプロテオーム解析結果ではEGFRによる共免疫沈降により得た抽出液から数千もの蛋白が同定されその中で当該経路関連蛋白の同定に時間を要した。内在化は多数の蛋白がEGFRに対して直接的間接的に緻密に関わっており関連性の重要度も含めたdata baseおよび文献検索を十分に行う必要があった。

今後の研究の推進方策

今後は大腸癌細胞株を用いた候補遺伝子(蛋白質)のknockdown及び遺伝子導入実験を予定する。抗EGFR抗体薬が奏効するCCK-81やHCA-7を対象に、候補遺伝子をsiRNAによりknockdownし、Cetuximabの添加による内在化の変化及び薬剤感受性の変化を検討する。また、抗EGFR抗体薬の効果の乏しいCaco-2やCOLO320DMにも候補遺伝子を導入し、内在化の変化及び薬剤感受性の変化を検討する。続いて治療開始前の大腸癌組織におけるEGFR結合候補遺伝子の発現と抗EGFR抗体薬の有効性評価を目的として過去にこれまで徳島大学病院消化器内科でRAS野生型切除不能大腸癌に対して抗EGFR抗体薬で治療した30例を用いる。具体的には患者の癌組織におけるEGFR結合候補蛋白質の発現や治療前後での発現変化を免疫染色、Western blotting、RT-PCR等により検討し、抗EGFR抗体薬の治療効果及び生存期間との関連を調べる。想定される問題点としては検体の数および質が挙げられる。その場合には検体候補者リストを広げ消化器外科での手術検体を使用し検体数および質を担保する。

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公開日: 2021-12-27  

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