研究課題
ヒトのダウン症に伴う急性巨核芽球性白血病(DS-AMKL)では、TRIB1の機能獲得変異R107Lが同定されており、その過剰発現はマウスAMLの発症を促進することが明らかになっている。ヒト21番染色体に対応する、16番染色体の一部を部分トリソミーとして持つダウン症モデルマウスTs1Cjeを用いて、TRIB1のダウン症での白血病発症と悪性化の影響を検討した。Ts1Cje及び野生型マウスの骨髄細胞に、TRIB1 WTとTRIB1 R107Lを感染させ、骨髄移植実験を行った。その結果、TRIB1 WT及びTRIB1 R107Lを導入したTs1Cjeマウス骨髄細胞は、野生型マウス骨髄細胞と比較し、有意にAML発症を促進することが明らかとなった。続いて、TRIB1 WTを発現させAML化したTs1Cje及びB6マウス骨髄細胞の遺伝子発現解析を行った。Ts1Cje/TRIB1 WT細胞ではB6/TRIB1 WTと比較し、HOXAクラスター(HOXA7/10)の標的遺伝子群のエンリッチが認められ、さらにTRIB1/HOXA9の標的遺伝子であるERGの発現が有意に上昇していることが明らかになった。さらに、ヒトDS-AMKL臨床検体の発現解析から、TRIB1の過剰発現で変動する遺伝子群はDS-AMKLで変動する遺伝子群と相関することが明らかとなり、ダウン症関連白血病においてTRIB1が治療標的になる可能性が示唆された。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (2件)
Blood Adv
巻: 6 ページ: 1827-1843
10.1182/bloodadvances.2021004558
Leukemia
巻: 36 ページ: 558-561
10.1038/s41375-021-01384-1