研究課題
機械的刺激伝達シグナルおよび組織硬度がデスモイド型線維腫症の病態において果たす役割について検証することを目的としている。デスモイド型線維腫症培養細胞に対し、シリコンチャンバー及び培養細胞伸展装置(ストレックス社製)を用いて持続的に伸展刺激を与え培養細胞の増殖や挙動に与える影響を評価した。Cell countで細胞増殖を、western blotdでタンパクの発現変化を評価したが、伸展率10%と20%、伸展回数0.1Hzから1Hzまでの範囲で伸展なしと比較して明らかな細胞増殖の変化やβ-cateninの発現上昇は見られなかった。次に同細胞を用いて、Softwell(Matrigen社製)を用いて0.2kPaから64kPaまで異なる気質硬度上で細胞を培養し、培養細胞の増殖や挙動に与える影響を評価した。MTS assayで細胞増殖を、免疫細胞蛍光染色及びwestern blotでタンパク発現を評価した。基質硬度の上昇に伴い、2kPa以上で優位な細胞の増殖を認め、2kPa以上で筋線維芽細胞に強く発現するα-SMAタンパクが、16kPa以上でデスモイド型線維腫症で発現と核内集積が既知であるβ-cateninタンパク発現が有意に上昇することを確認した。また、過去に間葉系細胞での発現が報告されている機械的シグナル受容体Transient Receptor Potential Vanilloid 4(Trpv4)のデスモイド型線維腫症培養細胞における発現を免疫蛍光細胞染色で確認した。
3: やや遅れている
実験に用いているのは細胞株化していない初代培養細胞であるため入手機会が限られる。近年デスモイド型線維腫症の治療方針は保存的治療を行うことが多く、更に入手機会が減少している。
初代培養細胞を再度樹立した後に、他のメカノレセプターであるIntegrin family (VLA-1~3, 5, 6, αvβ1など)の発現確認を行う。基質硬度の変化がデスモイド線維腫症細胞内のTrpv4を介したCaイオン流入に対する影響についてCa蛍光プローブを用いて調べる。またIntegrinを介したFAK/MAPKシグナルに与える影響について免疫細胞染色、western blotによるタンパク発現解析, realtime-PCRによるmRNA発現解析等により調べる。
・参加予定の海外学会・国内各種学会の現地参加中止・初代培養細胞の入手困難による研究計画の遅延・使用計画は「今後の研究の推進方策」記載事項に加え、海外学会参加等や論文作成・投稿費用に充填される見込みである
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件、 オープンアクセス 9件) 学会発表 (3件)
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