研究課題/領域番号 |
20K16335
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
興梠 健作 熊本大学, 病院, 特任助教 (70869510)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 急性骨髄性白血病 / エピゲノム / がん代謝 |
研究実績の概要 |
急性骨髄性白血病(AML)の細胞株を用いてリジン特異的ヒストン脱メチル化酵素(lysine-specific demethylase 1: LSD1の機能阻害実験を行なった。mRNA-seq、ChIP-seq、メタボローム解析などを含めた統合解析において、LSD1が解糖系やヘム合成などの代謝を正に制御することが明らかとなった。またAMLの様々な病型を網羅した臨床データの解析から、LSD1、GATA 1、解糖系・ヘム合成遺伝子の発現が有意な正の相関関係を示すことが分かった。このことは、LSD1による細胞系譜制御がAMLの代謝型の多様性を 生み出す可能性を示唆している。またLSD1は骨髄球系への分化を促す転写因子であるCEBPAをエピジェネティックな機序で抑制することを明らかにした。また予想外なことに、LSD1は赤芽球系への分化を促す転写因子GATA1をタンパク分解から守ることによって分解されることを明らかにした。この他にも初年度は学会発表を積極的に行うことが出来、質疑応答を通じて今後の研究の展開に関して有意義な助言をいただいた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に予定していた実験を概ね行うことが出来たため。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は上記の確認実験として複数のAML細胞株をを用いてqRT-PCRやウェスタンブロットなどの遺伝子発現実験を行い、細胞外フラックスアナライザーなどを用いた代謝解析実験を行う予定としている。GATA1とCEBPAの相互の発現制御に関しても実験を検討している。また実験データが揃い次第、論文投稿を目指す方針としている。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた金額より安く実験が施行可能だったため。
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