研究代表者は令和2年3月より東北大学病院の関連病院へ異動となった。同時期から新型コロナウイルスの蔓延により、勤務地と研究施設の往来が制限され、東北大学において研究に専念する時間の確保が困難であった。 令和3年度以降、学内および協力施設における倫理審査を申請するとともに、研究に用いるヒト乳癌組織検体(東北大学病院病院と関連病院、協力施設において診断・治療を行った症例を対象)の症例抽出と臨床病理学的データの収集を行なった。なお、東北大学病院において診断・治療を行なった乳癌患者の組織検体に関しては、検査・手術の際に研究利用に対する包括同意書への署名により標本提供の同意を得ている。本研究では第一段階でヒト乳癌細胞株のほかノックダウンマウスを使用する予定としていたが、実質的な研究の遂行は困難であった。そのため第二段階に予定していた研究を先行する方針とした。前述のヒト乳癌組織(生検、手術検体)のFFPE検体を用いて、免疫組織化学的にITAFsと他因子(血管新生、腫瘍免疫、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体等)の発現状況を評価し、薬物治療効果・予後との関連を検討する計画とした。ヒト乳癌組織検体の使用予定症例数を、手術検体のFFPE組織200例(うち術前化学療法施行したもの100例)、凍結組織 50例とし、対象症例の抽出を行なった。 令和3年7月に出産したことに伴い、研究業務については令和4年度末まで中断していた。令和5年度に再開する予定であったが、診療に専念する中での研究時間の確保は困難であり、本研究を中断し、研究費は返納することとなった。
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