研究課題
若手研究
小児がん神経芽腫は、がん遺伝子として知られるMYCNにより引き起こされる。これまで研究代表者は、MYCNとエピゲノム制御因子のEZH2によるがん化機構の解明に向け研究を行ってきた。本研究で、MYCNのMB2ドメインがEZH2と結合するという既報を再現できなかった。しかしMB2ドメインは、MYCNの形質転換能に必須である可能性を示唆するデータを得た。また、MYCNとEZH2がゲノム上のMYCNターゲット遺伝子のプロモーター部位に共局在し新たな遺伝子発現制御機構の存在を示唆する結果を得た。
腫瘍生物学
MYCNの過剰発現は神経芽腫を引き起こす原因の1つであるが、その構造的特性から特異的な阻害剤の開発は困難である。そのため、MYCNによるがん化の詳細な機構を解明することで、MYCNそのものではなくMYCNにより引き起こされる異常を標的とした治療薬の開発が可能となる。本研究はその基盤となるMYCNとEZH2の結合が、MYCNによる神経芽腫の発生に必須であるということを調査するものであり、これが達成されればこの結合阻害が新たな治療標的になりうる。