研究課題
子宮体がんの臨床検体を主に用いて、がん免疫に関する遺伝子プロファイルや微小環境について検討を行っている。現在抗PD-1抗体を用いたMSI-Highがんへの免疫療法が盛んにおこなわれているが、dMMRマーカーとHLA Class I免疫染色の同一クライテリアでの比較検討により、大腸がんと子宮体がんでは免疫逃避機構のプロファイルが異なることが確認された。すなわち、大腸がんにおいてはMSI-Highがんは免疫の標的になりやすくHLA発現低下による免疫逃避機構が二次的に亢進しているが、子宮体がんにおいてはMSI-HighがんとHLA発現低下および臨床的予後には全く関連が認められなかった。子宮内は胎児の生育環境として、独自の免疫逃避環境が確立されているためと考えられる。現在は子宮体がん臨床検体を用いて腫瘍内浸潤リンパ球のシングルセル解析を行い、TCRレパトア解析を行ったところ、共通の認識抗原は見いだせないものの、単一のクローンが増加しているケースが多いことが判明した。
2: おおむね順調に進展している
適正な臨床検体を豊富に採取できており、現状は順調と考えている。
今後は微小環境の更なる精査を進めるとともに、標的として有用な共通抗原を見出すことを引き続き目標としていく。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件)
Oncology Letter
巻: 21 ページ: ePub
10.3892/ol.2020.12281.
Medical Molecular Morphology
巻: 54 ページ: 14-22
10.1007/s00795-020-00254-6.