研究課題/領域番号 |
20K16363
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
真里谷 奨 札幌医科大学, 医学部, 助教 (50836757)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | がん幹細胞 / 免疫療法 |
研究実績の概要 |
免疫チェックポイント阻害剤による治療が一般化していく中で、婦人科がんにおいてもMSI-HighがんやTMB-Highがんに対するPembrolizumabが治療に広く用いられている。本治療はがん幹細胞のみならずがん全体を治療標的としたものであるが、現状がん標的治療の中では分子標的治療薬とならび最も奏功が期待できる治療法の一つである。我々は免疫チェックポイント阻害剤投与のサロゲートマーカーとして、現在新たに深層学習を用いたがん病理組織の形態学的評価を用いることができないかと考えている。深層学習アルゴリズム構築に際し学習教師データとして用いるのは、MMR関連遺伝子や抗原提示に関わる分子の他、ALDH1A1やCD133といったがん幹細胞様亜集団にて高陽性となるバイオマーカーの発現に関するパラメータである。現在予備検討として、自施設の臨床細胞検体ならびに病理検体の形態学的診断ならびに免疫チェックポイント阻害剤のサロゲートマーカーとなり得るバイオマーカー発現状況の推定において、深層学習を用いた判定アルゴリズムを用いる検討を行っている。高品質かつ多量の教師データの利用により、細胞形態から悪精度を高精度に判定可能であることを確認し、深層学習が婦人科がんの形態診断においてもブレークスルーとなり得ることを確認した。現在は同手法を応用する形で子宮がん(子宮内膜がん、子宮頸がん)病理組織像からの免疫制御ならびにがん幹細胞関連分子の発現および抑制状況を推定するアルゴリズムの構築を行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
婦人科がん幹細胞を選択的標的とした治療開発から、現在は免疫チェックポイント阻害剤のサロゲートマーカーとしてのがん幹細胞マーカーの利用に方針をややシフトしている状況であるが、上記に関連した学術報告は継続して実施できている状況であり、研究進展としては概ね順調であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
現在子宮内膜がんの免疫染色を用いた免疫・がん幹細胞関連分子発現プロファイルについての解析ならびに深層学習アルゴリズムの検討を行なっている。これにより、がん幹細胞様亜集団の存在状況ならびに免疫逃避機構のプレスクリーニングを実施することにより、現状利用されているサロゲートマーカーを上回るがん免疫療法適応集団の分類が可能になるものと考えている。教師データの充実ならびに学習、評価を継続して実施することで適切なアルゴリズム構築を目指していく。
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