研究課題/領域番号 |
20K16367
|
研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
岡澤 裕 順天堂大学, 医学部, 准教授 (10794604)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 大腸癌 / PDXモデル / オルガノイド / CAFs / 個別化治療モデル |
研究実績の概要 |
患者癌移植モデル(以下、PDX)は患者癌の特性を反映した前臨床モデルとして期待されているが、転移形成率が非常に低いことより、抗転移 の開発や浸潤 転移の研究が困難であった。これまで申請者らは実 的転移モデルの作製のため、9症例の患者から採取した大腸癌細胞を高度免疫不全NOD/Shi-scid, IL-2RγKO (NOG)マウスの脾臓へ注入し、7例で肝臓にマクロな転移を形成した。さらに、浸潤から転移コロニー形成までの多段階の浸潤 転移のプロセスを可視化するために、レンチウイルス由来のGFP発現ベクターが導入された大腸癌細胞オルガノイドを樹立し、浸潤・転移にかかわる細胞動態を蛍光微鏡下で観察した。 GFP陽性大腸癌オルガノイドが同所移植されたPDXモデルでは、GFP陽性癌細胞が肺で多数出され、可視化された患者大腸癌の自発的肺転移モデルとなりえることがわかった。
本研究において手術により摘出された大腸癌部および非癌部の検体を採取した。これらの検体を酵素処理後、primary cultureし21例でCAFsおよ びコントロールの線維芽細胞のペーアーでの樹立に成功した。また、がん組織の一部を酵素処理し8症例の大腸癌オルガノイドも樹立した。上皮細胞、間葉系細胞や血球系細胞に特異的な抗体を使用した免疫組織染色を施行し純度の高い線維芽細胞が樹立されていることが確認された。また、RNA-sequencingにより非癌部由来の対照線維芽細胞と比較して、CAFsにおいて有意に発現が亢進している遺伝子が複数同定された。本年度の研究実績として、研究に必要な臨床サンプルからの線維芽細胞とヒト大腸癌オルガノイドの樹立に成功したことがあげられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究実績として、研究に必要な臨床サンプルからの線維芽細胞とヒト大腸癌オルガノイドの樹立に成功したことがあげられる。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は3D大腸癌オルガノイド培養や、GFP陽性大腸癌オルガノイドとCAFsを用いたPDXモデルを用いて、抗癌剤の抗腫瘍効果の検討や転移の生物学的研究を進めていきたい。 In vitro大腸癌オルガノイド培養に加えて、患者由来大腸癌から作製した同所移植モデルや実験的転移モデルを用い抗癌剤感受性試験を行い、奏効率の高い抗癌剤を患者個別に選択することができるかを検証するのが狙いである。
|
次年度使用額が生じた理由 |
培養細胞の増殖の遅延により必要な実験が施行できなかった故。
|