研究課題/領域番号 |
20K16369
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
原田 大史 産業医科大学, 医学部, 助教 (10835820)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 培養細胞の確保 / 初代・継代培養 |
研究実績の概要 |
ヒト子宮平滑筋腫の細胞を採取して、初代・継代培養して研究に使用するための細胞を増殖した。プライマリの培養細胞のため細胞の増殖には時間を要した。次の実験段階として低酸素培養と無血清培養を併用し、βカテニン阻害剤あるいはROCK阻害剤などの蛋白阻害剤を併用することで分化転換を起こす過程が必要となり、分化転換に必要な培養液や実験に使用する消耗品を購入するなどの準備を行った。低酸素培養を開始したがマルチガスインキュベーターが故障したため、低酸素培養が困難となり培養細胞を一旦凍結している。 培養細胞の分化転換を示唆する形態変化については現時点で確認できているが、今後は形態変化に併せて、細胞内の遺伝子発現や蛋白発現の変化について確認する必要がある。 研究継続のために必要なマルチガスインキュベーターを購入することで、細胞の分化転換を誘発することと分化転換した細胞の解析を行うための前段階に至っている。一方で、インキュベーターを購入した場合には細胞や培養器の個性に合わせて、分化転換を起こすために適正な酸素濃度を調整する必要があり、予定していた流れからやや遅れている現状がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
プライマリの培養細胞を確保したが、マルチガスインキュベーターが故障したため、分化転換に必要な低酸素培養の実施が困難となった。修理対応が可能かの評価が先に必要となり、また故障のタイミングが年度の終盤に重なったことから、対応が難しくなったことが挙げられる。結果的に修理対応が難しく、研究継続のために次年度で新規購入する流れを検討している。 細胞の形態変化の確認はできており、今後は再現性の確認と解析が必要となる。
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今後の研究の推進方策 |
マルチガスインキュベーターを購入して低酸素培養が可能な環境を整える。その後に分化転換の誘発と分化転換後の培養細胞の解析を行う必要がある。分化転換に必要な条件については確認できているが、マルチガスインキュベーターを購入した際に再度低酸素濃度の調整などの設定が必要となる可能性がある。以前に実施した研究の際にも、インキュベーターの改修が必要となった経験があり、回収後に酸素濃度の設定を細胞に合わせて調整する必要がある。 細胞が分化転換を円滑に起こす条件を培養器ごとに調整し、上記の分化転換の誘発を行うことがまずは必要となる。特定の分化誘導に関連する蛋白阻害剤等を一つあるいは複数用いることで誘発する方法を検討している。分化転換の証拠となる形態変化を光学的観察法を用いて観察する。細胞質内あるいは細胞膜タンパクの証明は、免疫染色法やウエスタンブロッティング法による評価を行う。分化誘導に関連する遺伝子発現はリアルタイムRT-PCR法で測定し、細胞内情報の連動性(RNA⇔蛋白⇔最終代謝産物)を確認する。「分化誘導前の細胞内情報の欠失あるいは減弱」と「分化誘導後の新しい性質変化の獲得」を証明することが目的である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナの影響で、研究室の人員確保が難しくなった経緯がある。また研究機器の故障も異なる時期に重なっており、新規に購入したいくつかの機器で実験を行える環境を整えてきた。その中で必要なものを吟味して使用していた経緯がある。今後研究の成果を出すために、進捗状況を加速させるべく低酸素培養器の購入や培養および解析に必要な試薬・消耗品の購入経費として使用する形を検討している。
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