本研究の一部の成果は既に論文発表されている(Relationship between podoplanin-expressing cancer-associated fibroblasts and the immune microenvironment of early lung squamous cell carcinoma. Lung Cancer. 2021 Mar;153:1-10)。 上記本文で明らかにされたことは次の様なことである。1非小細胞肺癌において、podoplanin陽性がん関連線維芽細(PDPN+ CAFs)胞は腫瘍促進的なTAMsの集積と 相関していることが示された。2in vitroの実験において、PDPN+ CAFsでは免疫抑制的な腫瘍微小環境に関わるサイトカイン遺伝子発現の亢進が認められた。 上記論文発表以降、CAFsとTAMsの間にどのような相互作用が働いているのを明らかにすることを課題として取り組んできた。CAFsが免疫抑制的な腫瘍微小環境に関わる因子としてTGF-βが関与することが想定された。これを単球からマクロファージに分化させる系を確立して実証しようと試みたが、実験系の確立に非常に難渋し、直接的なメカニズムの解明な困難であった。 それでもCAFsがTAMsになんらかの経路で影響を与え免疫抑制的で腫瘍促進的な免疫微小環境構築に関与することは複数の研究報告からも濃厚だと考えられる。さらに改善した実験系の確立によってこの詳細なメカニズムが実証されることが待たれる。
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