研究課題/領域番号 |
20K16378
|
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
榊原 里江 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 特任助教 (80827288)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 肺小細胞癌 / バイオマーカー / 病理 / INSM1 |
研究実績の概要 |
本研究は、肺神経内分泌腫瘍におけるINSM1蛋白発現と臨床病理学的特徴の関係性を評価し、細胞株における発現も調べ、INSM1の肺神経内分泌腫瘍の診断マー カーとしての有用性を検討するものである。 今年度は、昨年度に引き続き、多施設での(1)原発性肺癌(腺癌、扁平上皮癌、小細胞癌、大細胞神経内分泌腫瘍(LCNEC)、カルチノイド)におけるINSM1の蛋白発現を免疫染色により評価した。(2)肺癌細胞株(小細胞癌、 腺癌)を用いて、セルブロックを作成し、免疫染色法とウェスタンブロット法にてINSM1の蛋白発現ついて検討した。 その結果、多施設においても(1)原発性肺癌における切除検体のINSM1の蛋白発現は、肺腺癌では10%以下、肺扁平上皮癌では10%以下で陽性であり、肺小細胞癌では90%以上 が陽性、LCNECでは60%以上が陽性、カルチノイドでは90%以上が陽性であり、神経内分泌腫瘍にINSM1が特異的に発現していることが示唆された。(2)細胞株実験において、INSM1は腺癌細胞株では免疫組織化学染色法・ウエスタンブロット法ともにほぼ全例陰性であったが、小細胞肺癌株ではINSM1は免疫組織化学染色法・ウエスタンブロット法ともに80%程度で陽性であった。 今後は、症例数を増やした小細胞肺癌、非小細胞肺癌におけるINSM1発現と予後との関連や、肺がん細胞株を用いてINSM1やその下流のシグナルとの関連性を評価することで、機能解析もさらに進めていく。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画のうち、原発性肺癌のサンプル収集および免疫組織化学染色はおおむね順調に進んでいる。細胞株の実験については解析を進めている。
|
今後の研究の推進方策 |
バイオマーカーとしての有効性を検証するために、症例数を増やした解析を実施したため、解析を進める。また、細胞株の実験も追加で行い、INSM1の機能解析を進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用したい抗体があり、次年度使用に繰り越したため
|