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2021 年度 実施状況報告書

肺癌に対するがんワクチン開発に向けた、がん抗原に関する基盤データの取得

研究課題

研究課題/領域番号 20K16380
研究機関岐阜大学

研究代表者

小室 裕康  岐阜大学, 医学部附属病院, 医員 (40839122)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード癌・精巣抗原 / エキソームシーケンス / RNAシーケンス / TIL / RT-PCR法 / Single Cell解析
研究実績の概要

がん免疫療法の中で、免疫抑制解除型の免疫チェックポイント阻害剤(ICI)の開発は一定の成功を収めたものの、その治療効果はまだ一部の症例に限られており十分とは言えない。これまで、遺伝子変異由来のネオアンチゲンに対する免疫応答がICIの効果の鍵を握ることを示唆するデータが報告されてきた。したがって、免疫抑制の解除に加え、ネオアンチゲンをはじめとするがん抗原に対する免疫応答を増強するがんワクチンが開発できれば、さらに治療効果を引き上げられる可能性がある。有効ながんワクチンを実施する上で重要なことは、強い免疫応答を引き起こしうる有望ながん抗原の選定と、ICI、がんワクチン及びその併用治療を含む免疫療法の適応症例の適切な選択にある。
本研究の目的は、手術で切除された肺癌検体から、新鮮分離がん細胞の解析、TILの培養、がん細胞株の樹立等を行い、腫瘍反応性T細胞が認識するがん抗原を患者個々のレベルで検討し、将来の肺癌に対する個別化がんワクチン開発に向けた基盤となるデータを取得することである。
もう一方で、癌・精巣抗原(cancer-testis antigen:CTA)の一つであるKK-LC-1は肺癌患者の約35%、胃癌の80%、トリプルネガティブ乳癌の50%、子宮頸癌の30%程度で発現している共通抗原と言われている。本研究では特にKK-LC-1注目し、特異的なT細胞受容体(TCR)を同定、取得を試みた。KK-LC-1特異的TCRが取得できれば、KK-LC-1陽性患者に対する遺伝子改変T細胞輸注療法の道が拓ける。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

培養TILからのTCR遺伝子導入T細胞による抗原同定が困難であったため、FTDを用いたシングルセル解析(CD8T scRNA/TCR-seq)から腫瘍特異的T細胞と抗原を同定するアプローチに変更した。肺癌検体9例のsingle cell解析を行い、そのうち3例まではT細胞の反応性までをスクリーニングし終えた。T細胞の反応性は、全エクソーム/RNAシーケンスデータからAIを用いて予測されたネオアンチゲンやがん・精巣抗原由来のエピトープを用いて確認された。スクリーニングが終了した3例で学会発表、論文報告を予定している。
同アプローチを用いたことでKK-LC-1に対する抗原特異的な反応を示すTCRが複数採取された。これらは既報のTCRとは別のものであったため、今後論文報告を予定している。

今後の研究の推進方策

論文報告へ向けて、必要な実験や解析を行う。特に遺伝子変異由来のネオアンチゲンと、変異を伴わないペプチド(wild type)との選択性の違いを詳細に検証する。また、実験結果をを反映させて、single cell解析データをさらに進める。

次年度使用額が生じた理由

学会発表のための旅費として使用する。
論文の校正、投稿費用としても使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] HLA-B1501 肺癌患者における KK-LC-1 に対するTCR β鎖の解析2021

    • 著者名/発表者名
      小室裕康, 高橋祐介, 西科直輝, 福嶋恭啓, 宮本祐作, 松本光善, 山本裕崇, 白橋幸洋, 西田玲奈, 杉田裕介, 篠原周一, 松井琢哉, 岡村文子, 福山 隆, 黒田浩章, 松下博和, 土井 潔, 岩田 尚.
    • 学会等名
      第62回日本肺癌学会学術集会

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公開日: 2022-12-28  

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