研究実績の概要 |
2022年度は、アポトーシス関連分子 (Bcl-xL, Bax, Bcl-2, Bak, Noxa, Bid, Cytochrome c, Cleaved caspase -3) の経時的な変化 (1, 2, 4, 6, 12, 24h) を免疫組織化学的手法およびウエスタンブロッティング法にて発現の変化を解析した。アポトーシス抑制分子であるBcl-xLは、独自開発した光感受性物質である水溶性リンポルフィリン錯体 (Ptpp) を用いた光線力学治療法 (PDT) 後1時間より陽性細胞数の減少傾向が見られ、6時間以降、有意な減少を示した。一方で、アポトーシス促進分子であるBaxは、Ptppを用いたPDT後1時間より陽性細胞数の増加傾向が見られ、6時間以降、有意な増加を示した。他のアポトーシス抑制分子であるBcl-2およびアポトーシス促進分子であるBak, Noxa, Bidに対する免疫組織化学を行い解析したが、PDT後に変化を示さなかった。さらに、Cytochrome cとCleaved caspase-3の免疫組織化学とウエスタンブロッティングを行った。この2つの分子に関しても6時間以降に有意な増加が確認された。これらの結果から、胆道癌細胞株 (NOZ) に対するPtppを用いたPDTによるアポトーシスの誘導は、Bcl-xLの低下とBaxの増加によりアポトーシス促進へと変化することでCytochrome cがミトコンドリアより放出され、アポトーシスの最終実行分子であるcaspase-3の活性化 (Cleaved caspase-3の増加)を引き起こすことが分かった。本研究により独自開発したPtppを用いたPDTは、胆道癌に対する有効性が示唆された。
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